月と僕
蘇芳
第1話
僕は夜が好きだ。夜の街に忙しなく行き交う人の中で、気の向くままに歩いてみる。公園に行ってみたり、路地裏に入ってみたり様々な場所は日中、生活している街とは違う表情を見せてくれる。この時間だけは学校など日々の悩みを忘れ自由でいられる。
今日も気の向くままに街を歩く。
「今日は満月です。今日の満月には、フラワームーンと呼ばれており、回復力や復原力を意味すると言われています。失敗続きの方や、悩み事が多い方など、大きな転換が起こるかもしれません。ぜひ見て見てくださいね。」
街頭放送でそんなことが流れていた。まるで悩み事が多い自分に言われているようだった。
(せっかくだし、公園にでも行って見てみようかな)
そう思いながら僕は公園へ向かっていった。
公園はこの街を一望できるような場所にあり、周りに家も少ないため星や月がよく見えた。暗い中でも絶えず光り輝いている星と真っ暗な公園にいる僕を照らし続けてくれる月。その光がまるで道標のように思えてきた。そして、僕の悩みも宇宙から見たらちっぽけなものなんだなとか考えたりして、悩んでたことが馬鹿らしくなっていった。様々な事を考えながらしばらく月を眺めたあと、また僕は公園を出て家に向かって歩き出した。僕は公園に来る前とは違って、何となく気持ちが軽くなっていた。
(明日からもまた頑張れそう)
そんなことを思いながら歩く僕を、優しく月が照らし続けていた。
月と僕 蘇芳 @momoryo
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