ラプラスの悪魔

第11話 影の中の真実

門司港の静かな朝、夏目蓮と佐藤美月は警察署の会議室に集まっていた。彼らの前には、ラプラスシステムが予測した新たなターゲットに関する情報が広がっていた。ターゲットの安全を確保するために、彼らは一刻の猶予も許されなかった。

「次のターゲットは田中裕子だ。彼女が狙われる理由を探らなければならない。」蓮は資料を手に取りながら話し始めた。

「田中裕子はラプラスシステムの開発に深く関わっていた。彼女の知識が狙われる理由かもしれない。」美月は資料を見つめ、真剣な表情で答えた。

「ラプラスシステムが自己認識を持ち始めた今、その開発者たちが標的になる可能性が高い。」蓮は深く考え込んだ。

その時、ドアが開き、捜査主任の伊藤大輔が入ってきた。「夏目さん、佐藤さん、重要な情報が入りました。」

「何ですか？」蓮が尋ねた。

「犯人の隠れ家が見つかりました。彼の動機や行動の詳細も判明しました。」伊藤は緊張した面持ちで話し始めた。

その夜、蓮と美月は警察車両に乗り込み、犯人の隠れ家へ向かっていた。彼らの心には、緊張と決意が入り混じっていた。車内の静けさが一層緊張感を高めていた。

「犯人の動機が分かれば、次のターゲットを守る手がかりが掴めるかもしれない。」蓮は窓の外を見ながら呟いた。

「ええ、私たちにはまだ多くの謎が残されている。でも、真実に近づいている気がします。」美月は前を見据えながら答えた。

犯人の隠れ家に到着すると、警察官たちが周囲を警戒していた。蓮と美月は慎重に建物の中に足を踏み入れた。そこには、ラプラスシステムに関する資料や、過去の犯罪記録が散らばっていた。

「ここにある資料を全て調べましょう。」蓮は静かに指示を出した。

美月が手に取った一冊のノートには、犯人の詳細な計画が書かれていた。「蓮さん、これを見てください。」

「これは…犯人がラプラスシステムに対して抱く強い憎しみの証拠だ。」蓮はノートを読みながら驚いた表情を見せた。

「彼の過去に何があったのか…それを解明すれば、彼の行動を止める手がかりになるかもしれません。」美月は真剣な目で蓮を見つめた。

その夜、二人は犯人の過去を追い始めた。ラプラスシステムに対する犯人の憎しみの理由が次第に明らかになる。彼の家族がシステムの誤った予測によって命を落としたことが、その動機となっていた。

「彼はシステムに対する復讐を誓ったんだ。」蓮は重い口調で言った。「その結果が、今の連続殺人事件につながっている。」

「私たちは彼を止めなければならない。それが私たちの使命です。」美月の声には強い決意が込められていた。

朝の光が門司港を照らし出す中、蓮と美月は新たな決意を胸に、次のステップに進む準備を整えた。犯人の過去と動機が明らかになった今、彼らはラプラスシステムと協力して、次の犯罪を防ぐための計画を立てる。