情報収集
(おいおい、嘘だろ……)
しかし、東京都新宿区はいつまで経っても緑からは移り変わらない。
何度も再読み込みをするが、なぜか状況に変化はなかった。
俺が今この世界に存在していることも、奇跡なのだと思う。
なぜ新宿区だけが緑色なのか、その情報はどのニュース速報でも明らかにされていない。なにかの事情があるのだろうか?
取り敢えず、その辺を散策してみよう。そうしたら、何かが分かるかもしれない。
俺は、止めていた足を動かし始めた。
街は大胆に破壊されているが、やはり敵の姿は何処にも見当たらない。
しかし、一つ不可解な点がある。人の気配も一切と言っていいほど無い。
昨日まで賑わっていた新宿区中心部は一体どこへ消え去ってしまったのだろうか。
取り敢えず普段、普通に人がいる、そして食料品文房具などを扱っているコンビニへと情報収集、そして敵が此処にはいないとはいえ、念には念を入れて、敵から身を守るための武器、食料を手に入れにいこう……いや、まずは電話すればいいか。
スマホを取り出し、スリープから起こす。
「ザザー_____」
数秒後、一瞬壁紙が映ったと思うとノイズとともに、昭和中期頃のテレビで見たことがある砂嵐、スノーノイズとかいう現象によって画面が乱れる。
「……チッ」
通信障害なのか?近くの電線も破損しているのが原因かもしれない。
まあいい、直接行くしか無いということだ。
通学で三年間通っているとはいえ、流石に近くの施設に何があるのかまでは記憶していない。
しかし、東京都心の場合、コンビニはそこら辺を適当に歩いていれば、すぐに見つかる。
三分程歩いていると、長い横断歩道の先に壊れかけた文字を掲げた新宿駅が見えてきた。
「本当に新宿……なんだな」
長い時間を経て朽ち果てたかのような、今まで見た中で最もみすぼらしい駅。
ガラスの破片、一部の倒壊した高層ビルを流れる赤と黒が混じった色の液体。黒い液体を放出しながら階段に倒れるイルミネーションの死骸。
しかしそれには確かに人で溢れていた駅の面影が残っており、これは現実なのだと突きつけてくる。
それから数分、ひとけのない道を歩くと、「SMARTMAAT 新宿駅南」という店舗が、すぐに見つかった。
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