第13話・ハグして・・・そしてキスして。

遊月ちゃんは自分が作った味噌汁が入ったお椀を取って味を確かめた。

さすがに自分でもこれはダメだって思ったんだろう。


「ひどいね、これ、誰が作ったの?」


「君だけど・・・・」


「・・・・・・」


「ごめんね、料理もまともにできなくて・・・彼女失格だね」

「料理なんてレシピ見たら簡単に作れるって思ったのに・・・」

「彼女失格だ、私・・・ダメ女」


そう言うと遊月は泣きだした。


「あ〜大丈夫だから・・・こういうのはさ、普段からやってないと

なかなか・・・でもちゃんと作れるようになるから・・・俺も協力するからね」


ってことで、朝食はふたりで、あ〜でもないこ〜でもないって作ることになった。


(巫女さんなんかやってるから、料理なんて作ったことないんだろうな)

(作ろうとした努力は買うけど・・・)


遊星は落ち込んでる遊月をソファに座らせた。


「ここに座って?」

「泣かなくていいから・・・」


「うん・・・」


「遊星・・・・ハグして?」


「ハグ?・・・いいよ・・・おいで?」


遊星は遊月を優しく抱きしめた・・・抱きしめて思った・・・なにこれ

これが女の子の体?・・・抱きしめただけで、こんなに気持ちよくて心地いいんだ。


「あの・・・遊星・・・チョット長くない?」


「あ、ごめん・・・永遠に抱きしめていたいって思って・・・」


「ハグしたら、次、なにするか分かるよね」


「なに?・・・ハグの次?・・・なに?」


「鈍いね遊星」


「まじで?・・・もしかして?」


「うん・・・して」


なにをするか実はハグすた時、遊星には分かっていた。

遊星はもう一度遊月を引き寄せて、遊月の顎を指であげると、その可愛い

クチビルを奪った。


「あ〜ん、ハグより短い」


「え〜・・・じゃ〜もう一回・・・」


「あ〜あ、ああ、舌はまだ入れない、ディープはエッチの時までおあずけ」


キスが終わったあとふたりはしばらく何も言わなかった。


「飲み物持ってくる」


遊月はうなずいただけだった。

こういうことのあとの半ば白けた雰囲気がふたりは照れ臭かった。

でもふたりの気持ちは心地よく高揚していた。


だけどすぐにその流れでセックスをするのはまだ早いと・・・。

このままモチベーション保ちつつすべては夜になってからって思った。


冷蔵庫から飲み物を持ってきた遊星。


「ここに座って夜まで仲良くテレビでも観ようね」


そんなわけで、朝は情報番組しかやってないわけで、めちゃつまらない。


「そうだ・・・アニメでも観る?」


「うん、観る」


遊星は、アニメのDVDをディスクにセットした。


楽しいほうがいいと思ってジボリの「ハオルの動く城」をかけた。


遊月は初めてみるアニメに夢中になって、また魔法の世界の話に大いに

関心を示した。


アニメを観終わって遊月が言った・・・。


「私ハオルに恋しちゃった・・・どこに行ったら彼と会えるの?遊星」


「あれは、アニメだから、会えないの・・・」


「だいいち、ハオルのところに行かれちゃったら俺が困るし」

「アニメのキャラになんか彼女取られたくないからね」

「そんなことになったら、せっかくの努力が水の泡だよ」

「また勾玉宣言しなくちゃならなくなるだろ?」


「え?ハオルに会えないの?」


「会えないの・・・現実の人じゃないから」


「つまんないの・・・」


「ハオルのことはこの世にいない人だって思って諦めて・・・じゃ〜さ別の

アニメかけてあげるから」


そう言って流星はまた新しいDVDをセットした。


今度は・・・


「私、スーパーヤサイ人のキャキャロットって人に恋しちゃった」

「めっちゃ強いし、彼・・・カッコいいし・・・素敵」


「まじで?」

「どのアニメ見せたってどの主人公にも恋しそうじゃん・・・惚れっぽい性格の

姫巫女だな・・・」


「遊星まじになってる・・・」

「ほんっと遊星ってからかうと面白いね、ふふ」


つづく。


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