第5話 ドラゴン討伐は計画的に2
地竜の側で待機していたドローンがオレの指示で爆発した。
けたたましい音が採掘場で響く。
その音に地竜が目を覚ます。
「がぁああああ!」
せっかく寝ていた所を邪魔されたれら、そりゃあ怒るよな。
もう一機のドローンが地竜の側を煽るように飛ぶ。
自分の睡眠を邪魔したのがドローンだとわかり地竜はドローンを追いかける。
ドローンの爆発と地竜の走る振動で採掘場が崩壊を始める。
落ちてくる瓦礫などものともせず地竜はドローンに迫る!
オレの操作でドローンは採掘場から地上へと地竜を誘導する。
ホログラムから地上への入り口が見える。
「来い!」
ドローンが入口から飛ぶ出たとほぼ同時に地鳴りと共に地竜が入口を破壊しながらその巨体を現わす!
だが出てきた瞬間オレが仕掛けた落とし穴に落ちる地竜。
「今だ!」
オレは握っていた装置のスイッチを押す。
落とし穴から爆発が巻き起こる。爆風が作業用ロボを揺らす。
「ぎゃーっ!」
ミタマも吹き飛ばす。
爆風で巻き上げられた煙が当たりを包む。どうなった?
さすがにあれだけの爆発だ…ドローンで辺りを探らせる。
「ぐぉおおおおおおっ!」
生きてる…全身から血を吹き出しながらも落とし穴から這い出てくる。
さすがに弱ってはいるだろうが傷を負っている分、気性がさらに荒ぶっているのがわかる。
手負いの獣が一番危険。 昔どこかのtv番組で見た記憶が蘇る。
地竜の視線がオレを捉える。
ぞっと悪寒が走る。
だがオレにはまだ奥の手がある。
「せんせいー ミタマ先生お願いします!」
神頼み。
「おえぇえええええ」
神様は吐いていた。
つかえねぇええええええええええええええええええ!
よし逃げよう。
そう思った瞬間 地竜はオレが操る作業用ロボを右手で掴み持ち上げる。
みしみしみし。
握り潰そうとしてるのか、機体が悲鳴を上げる。
地竜が口を大きく開け、ロボをくわえ込む
目の前に竜の口の中身が視界に広がる。
「くっそぉおおおおおお!」
ロボの右手は採掘用にドリルに変形できるようになっている。オレは操縦桿を力いっぱい握りしめ
ドリルを回転させながら口の中に突っ込んだ!
ドラゴンは血しぶきを上げならもロボを離さず、潰そうとする。
警戒音が響き あちこちの計器が警告を発する。
ダメか…そう思った瞬間 何かの激しい振動が全身を駆け巡るの感じた。
地竜は電池が切れたかのように倒れ絶命した。
動かなくなった地竜の口から這い出るように出てくるとロボも限界を迎えたように動かなくなった。
コクピットからなんとか出ると、辺り一面が地竜の血でびっしりと染まり、異様な匂いを放っていた。
なんだ…?見ると地竜の頭に大きな穴が貫通していた。
これが致命傷になったのか…。
オレ…じゃないよな
「うぇええ気持ち悪い」
ミタマでもない。
一体誰が…。
一真たちを見下ろせる小高い丘に深紅の機動装甲騎はいた。
手にはライフルが握られており、銃口から煙がでている。
「ツメは甘かったけど、作業用で地竜を追い詰めるとはね…」
「殿下…あなたのお眼鏡に叶いそうですよ」
コックピットに乗っているアリスはそう呟いた。
「まっそれはそれとして」
竜の素材は凄いレアだよな! あちこちはぎ取るぞ!うはははは
もちろんオレにそんな技術はないので、ギルドで解体してもらうけど。
「おいミタマ、これ収容してくれ」
異次元に無尽蔵にアイテムを収容できる魔法があるが まだオレはそれを使えないのでミタマに保管してもらう。
「え~めんどくさいなぁ」
「みなさん 大丈夫でしたか~?」
アリスが走ってこっちに向かってくる。
「おーなんか楽勝だったなぁ」
こうしてオレ達はドラゴン討伐を終えた。
「かんぱ~い!」
ギルドの酒場でオレ ミタマ アリスは祝杯を挙げていた。
いつもより豪華な食事にちょっとお高めな酒。ミタマはすでに出来上がっている。
「おーお前ら、地竜討伐したんだって?凄いな!」
「ねーねー今度あたし達とパーティ組まない?」
他の冒険者たちにもすでに地竜討伐の噂は広まっているらしく、気軽に話しかけてくる。
「地竜を討伐した話聞かせてよ」
「よーし!いいだろう! 今日はオレのおごりだー!飲め飲めー!」
「やったー!一真さん 素敵ー!」
「えっ?ただ酒?ちょとおねいさん ここで一番高いお酒だしてー!」
おい ミタマお前は払えよ
「おいミタマ お前今回なんもしてないんだから 場を盛り上げろよ ほらえっと…踊りとか…なんだっけ神話でもやってた えーっとあめの…」
「はぁ!?あんた何言ってんの? 私に天宇受売命あめのうずめのような痴女になれっての?」
「バカじゃないの?てかバカなんですか? 元祖ひきこまりの天照の小娘を引きずり出すために裸踊りした痴女のような事しませんからね!」
ぷんすか怒りながらミタマが酒を煽る。
「えっミタマちゃん裸踊りするの!?」
「裸!裸!」
「ミタマ!ミタマ!」
冒険者たちがはやし立てる
「するかー!」
雷が落ち冒険者たちを痺れさせる。
「おい どーでもいいけどあんまり飲みすぎるなよ。介抱すんのオレなんだからな」
「ふふ 楽しい方達ですね」
ワインを飲みながらアリスは微笑んだ。
次の日の早朝、オレとミタマは車の中にいた。アリスの家にお呼ばれしたからだ。
車はリムジンを思わせる高級車でタイヤは付いているが浮いている。揺れもなく座り心地も最高。車内にはお酒におつまみもついていた。
向かうは貴族たちが住んでいる街の中央街
その中でもひと際大きい屋敷が目的地だ。
大きな門を通ると入口に車は止まった。降りるとメイドさん達が両脇に控え、カーテシーをしてオレ達を迎え入れた。
扉の真ん中で普段とは違う白いドレスに身を包んだアリスが立っていた。
「ようこそおいでくださりました。一真様 ミタマ様」
「ど どうも」
緊張でぎくしゃくするオレ
「ねーねーお腹すいたんだけど なんかない?」
ミタマはいつも通りだ。こいつの図太い神経少しわけてもらいたい。
「ふふ もちろん用意してますよ」
笑うアリス。 アリスのすぐ後ろに執事服に身を包んだ老紳士が立っていてなぜか泣いている。
「お嬢様が…お友達を…今までできたことのなかった友達を当家にお呼びするとは…」
「じい!いるから友達いるから!今まで呼んだ事なかっただけだから!」
「お嬢様 見栄を張らずに…妄想の中の友達など」
「妄想言うな!」
オレ達は聞かなかった事にした。
軽い軽食でもと大きな庭が見渡せるテラスに案内された。
おー噴水があるし、花も多種多様でちゃんと手入れされてる。
今日ここに招かれたのは、地竜討伐の褒章を受け取りに来たのだが、個人的に話があるという事らしい。
「父はあいにくと魔族との戦のため不在ですが、地竜討伐の報酬をお受け取り下さい。」
アリスは右手の端末を操作する オレの右手の端末に報奨金の振込が表示される。
振り込まれた金額を見てオレは…大人のお店に行こう。そう決心した。
「それと…お二人に会っていただきたい方がいます。」
そういうとアリスは端末を操作し、ホログラムを出した。
そこには一人の女性が映し出されていた。
「帝国第一皇女セシリア フォン ヴィクトリア殿下です。」
アリスが恭しく皇女殿下を紹介した。
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