1298 勧誘の方向性

 最上級のダンスを披露した運命ちゃん。

それを見た伊藤さんが、3B-GUILDへの参入を強く要望するのだが「表舞台には立ちたくない」っと言う理由から、これを拒否。


なので眞子が、運命ちゃんに参入拒否の理由を深く聞いた上で……


***


「……って言うのが、運命の言い分な訳なんだけど。これを、どう判断する?」

「う~~~ん。それってさぁ。どうあっても、仁科さんの参入は無理って事だよね?」


そこは、ちょっと違うね。

この話を聞いて無理だと思うのは、かなり安易な発想だと思うよ。

だから、そんな風に変に常識に捉われた考え方をせず、もう少し柔軟に物事を考えた方が良いかもね。


そんな訳なんで、此処は干渉じゃなくて、一応はそのヒントだけ言わせて貰うとしましょうかね。



「う~~~ん。まぁ、言葉は捉え様だからね。そう言う捉え方もあるかもしれないけど。一概には、そうとも言えないかもしれないよ」

「それって、まだ参入の可能性があるって事?」

「そうだねぇ。まぁ、どんな話であっても、その可能性を追求する事は出来るのかもしれないね。でもね……」

「うっ、うん」

「本人が表舞台には絶対に立ちたくないって断言しちゃってる以上、そこをまず本人の意思を尊重なきゃいけないのも事実。それを踏まえた上で、それ以外の部分を、どう捉えるかが重要な部分なんじゃないのかなぁ」


運命に参入して貰う方法は幾らでも有るよ。

ただ、どれを、どの様に考えて選択するのかは3B-GUILDの総意次第だけどね。


最終的な決定権は、3B-GUILDの、みんなにしかない訳だからね。


よく考えてみて。



「捉え方次第かぁ。……難しいなぁ」

「伊藤さん、伊藤さん」

「うん?」

「そんな風に自分1人で抱え込まなくても良いんじゃないの?」

「えっ?」

「折角の大人数のユニットなんだからさ。メンバー全員で相談し合えば良いんじゃないのかなぁ?」

「あぁ、そっかぁ。じゃあ、眞子ちゃんも……」

「うぅん。私は部外者だから、そこはダメ。自分達のユニットの事は、自分達で決めないとね」


手助けしてあげたい気持ちはあるんだけどね。

流石に、これ以上、私の口出しは無用なんですよ。


……っと言いますのもね。

此処で、部外者である私の意見だけが正しいと判断され。

みんなが本当に出したかった意見が消えちゃったら意味がないからなんですよ。


まぁまぁ、そうやって『私の意見が通るんじゃないか?』と思ってる事自体は、少々自意識過剰な部分ではあるのかもしれませんがね。

やっぱり、自分達の将来の事は、自分達で決めて欲しいものですからね。



「シビアだね」

「うん、そうかもね。でも、素直ちゃんが抜けた後の事を考えれば。今から直ぐにでも、自分達の問題は、自分達で解決しなきゃイケナイんじゃないかな?だから私、そう言う面は冷たいよ」

「あぁ……」

「それにね、伊藤さん」

「うん?」

「今は小さな存在でも。将来的に考えれば、運命を、どう扱うかによって、3B-GUILDの芸能活動が大きく変化をするとも思うんだよね。そこの未来予想図も深く考慮すべき点だとも思うから、これ以上の意見は控えさせて貰うよ」


そう断言できる程、運命のダンスは魅力的だった。

だから、運命の存在如何では、素直ちゃんが在籍している今の3B-GUILDよりも、もっと大きなアイドルグループに成る可能性を秘めている、っと思う。


何故なら、今さっき見せてくれたダンスだけでも、この子のポテンシャルが、この程度のもので収まるものじゃないと確信せざるを得なかったからね。

所謂『素人の私に教える為に踊ったダンス』ですら、あの恐ろしい様な出来栄えだったんだから。

本気になった運命は、もっともっと高い位置でのダンスが出来るはずですからね。


なので、此処だけは確実だと思える。


けどそれだけに、運命の使い方や、方向性を間違ってしまえば、この可能性が水の泡と消えるのも事実。

故に、今後の3B-GUILDにとって『運命の今後の使い方』は究極の選択とも言えなくもない。


だからこそ、他人の力を借りず、みんなで本気になって考えるべきだと思う。


私のお節介な助言は、此処で、お仕舞いだからね。


もぉ、これ以上は、本当に口を挟まない。



「そうだよね。今までは素直ちんの威光が有ったから、なんとか芸能界でも、此処までやってこれたけど。これからは、それが無くなるんだもんね。シッカリしなきゃね」

「うん、そう言う事。……まぁ、そんな訳だから、私は、運命と、もぉ少しダンスの練習を続けてるから。もし、今日中に、みんなの意見が纏まったら、私に言って。運命が勘違いしない様にキッチリ伝えるから」

「あぁ、うん。その時は宜しく」

「うん。バッチリ任せといて」


そう言った後、一旦、私は、運命の待っている場所に戻り。

更に、そこから少し離れた場所に移動してから、ライブに向けての練習を再開。


現状での私のダンスでは、まだま人前で見せれるような代物ではありませんからね。


なので、少しでも此処は特訓あるのみなのです!!


……っと言いつつも、向こうの状況も気になるのが私の性分。

なので、そのダンスの練習してる最中にも、チラチラっと横目で、みんなの姿を確認してみたら。

どうやらアチラ側は、コチラの練習には目もくれず、なにやら、あれやこれやと真剣に意見の交換をしている様子。


この様子からして、必至に運命の事を考えてくれてるのが手に取るように分かった。

まぁまぁ、これが、どういう結果になるかは蓋を開けてみないと解らないけど、また、みんなの絆が深まって行くのだけは間違いないんじゃないかな、とは思えた。


ただ……そんな中にあって。

素直ちゃんだけが、なにも言わず。

ただただ、みんなの意見を聞いてるだけの姿勢をとってるのだけは、妙に気に成るけどね。


なんだろう、あの素直ちゃんに対してだけ出てる不穏な空気は?


なんて考えていたら……



「眞子……他所見しない」

「あい」


練習に集中してないのがバレて、運命に怒られました。


折角、教えて貰ってるのに、すみません<(_ _)>


ちゃんと集中します(੭ु'皿'*)੭ु⁾⁾


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


どうやら運命ちゃんの3B-GUILD参入は、一筋縄ではいかない様なのですが。

これは本編でも書かせて頂いた様に「捉え方次第」では、表舞台には立ちたくない運命ちゃんであっても3B-GUILDに参入して貰う事は可能なんですよ。


まぁまぁ、そんな風に大層には言ってはいますが。

実の所、この話自体は、そんな小難しい話ではなく。

極々単純な話なので、そこに、眞子と話をしていた伊藤さんをはじめとする3B-GUILDのメンバーが気付くか、どうかだけの話なんですけどね(笑)


さてさて、そんな中、この問題に対しての結論が、ライブが始まるまでに出るのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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