第2話

次の日、七星あかりは再びいつものカフェに訪れた。カフェの扉を開けると、昨日のまま置かれている里道百合の鞄に気づいた。スタッフに声をかけると、彼らも鞄の持ち主がまだ現れていないことを知っていた。


あかりは少し迷ったが、その鞄が気になって仕方がなかった。思い切ってスタッフに聞いてみた。


「あの、昨日の鞄のことなんですけど、持ち主の方はまだ来られていないんですか?」


スタッフは首を振り、「そうですね。持ち主の方はまだ現れていないんです。連絡先もわからないので、こちらで預かっているんですが…」と答えた。


あかりは一瞬考えた後、決心したように言った。「もしよければ、私がその鞄を届けに行ってもいいですか?何か持ち主の手がかりがあるかもしれません。」


スタッフは少し驚いた顔をしながらも、「それは助かります。では、鞄の中を確認して、連絡先がわかるものがあるか見てみましょう」と言って、鞄をあかりに手渡した。


あかりは慎重に鞄の中を確認し始めた。中にはノートや教科書、そしていくつかの個人的な物が入っていた。そして、一冊のノートの中に、持ち主の名前と大学の住所が書かれているページを見つけた。そこには「里道百合」と書かれており、大学の住所も詳細に記されていた。


「大学の住所が書いてありますね。この方が里道百合さんという名前みたいです。」あかりはそう言って、スタッフに見せた。


「なるほど、ありがとうございます。もしあなたが届けてくださるなら、本当に助かります。」スタッフは感謝の意を表しながら言った。


あかりは鞄をしっかりと抱え、「はい、私に任せてください。必ず届けます」と答えた。


カフェを出たあかりは、少し緊張しながらも、その鞄を届けるために大学へ向かう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る