超人お姉さんが家ではダラけまくっている件

蒲生 聖

第1話:これが本当の姿なのか?

俺の名前は佐々木 しゅうだ。今年で高校二年生になる。姉の里美さとみは大学生で、俺と姉はアパートで二人暮らしをしている。

両親は幼い頃に交通事故で亡くなり、祖父や祖母から仕送りをもらって生活をしている。節約は欠かせない毎日である。

そんな生活がもう10年は続いているとは驚きである。


「秀くーん!ここら辺に置いてあったモバ充知らへん?」


うちの姉の里美はいつも通り露出度が高くふざけた柄のオーバーサイズすぎるTシャツを着て言う。本当に、下はちゃんといているんだろうか?きわどすぎるよ、、、、



「知らへんよ。またどっかのカバンに入ってるんちゃうの?」


「秀も一緒に探して!」


里美はそう言ってショート動画を見ていた俺のスマホをシャットダウンさせる。

うぜー、10年間ずっと思っていることだが、自分の持ち物くらい管理しとけっつーの!まぁ大概すぐ見つかるけど。


「あいよ」


そう言って俺は散らかりすぎている里美の部屋に押しかける。


「おい、これいつのパン??腐ってるんちゃうの?」


俺が見つけたのはカビが生えたあんぱんだった。袋が空いていないのが幸いだが、今にも破裂しそうなほどパンパンに膨れ上がっている。


「あーそれ?まぁ捨てといて!」


また適当なことを言って、、、、少しは自重じちょうしろよと思いつつも言いなりになって捨ててやった。


「あっ!あった!!モバ充ちゃん」


そう言った里美の方を向いたらなんとパンツが見えてしまった。

姉はオーバーなシャツ一枚だったのもあるが、俺が四つん這いになって地面の物をガサゴソ探していたせいもあって割とガッツリ見えた。


「やーん、えっちー」


そういって特に恥じらいもせずに姉はそそくさと離れていった。

いやいやいやエッチってどっちがだよ!そんなに際どい服を着ている里美の方がエッチじゃないか!ほんっとにだらしない。

俺はさっきの光景が目に染み付いてしばらく悶々もんもんとしていた。


ある日の朝、姉がいつもとは違ったよそおいをして出かけてくるといった。

外ではせみがジャンジャカ鳴いていて、地元の公園では夏祭りの準備のせいか、いつもより賑わっていると思った。


出かけると言った姉の服装はビシッと決まっていてどことなくかっこいい。


「秀ー、その辺に落ちてるゴミ捨てといて!」


そういって指差した方向には山積みのペットボトルと菓子パンの袋が置かれていた。

前言撤回ぜんげんてっかいさせてもらおう。この人全然かっこよくない!!

いつもとは違う外の景色といつもの姉が対比的に映る。


「あーい。じゃ気をつけて行ってこいよ。」


また今日も言いなりになっている気がするがまあ気にしないでいいだろう。

ゴミを捨てた後、一人きりになったアパートで今後のことを考える。

外では相変わらずセミや祭りの準備やらでジャンジャカしてやがる。


今日の昼飯は俺一人だろうし、何か買ってこようかな?出前を頼むのもいいな!

いやでも自炊をして節約するべきだろうか、うーん、、

悶々と考えているうちに俺の腹の虫がいきおいよく鳴く。それこそ外でジャンジャカしてるやつより大きな音で鳴りやがる。


よし冷やし中華にしよう。そう考えて帽子ぼうしを被りマスクをつけて激安スーパーへとむかった。

こんなに暑い日に不審者じみた服装をしていることについては触れないでほしい。なんとなく激安スーパーへ行くと若い俺はよく目立つし、自由に行動しにくいということを読者のみんなに伝えておいておく。決して不審者ではないからな!


スーパーへ行くには大通りを通らなきゃ行けない。多くの人の目ににつくだろうし、憂鬱ゆううつだな、、と思いつつ交差点がある大通りへとを進める。


すると見慣れた、、いや見慣れない服装をした里美が信号待ちをしていることに気づいた。大通りの向かい側には駅があるし駅に向かっているのであろう。

声をかけようとしたその時、赤信号なのにも関わらずに対向車線から車がアクセルをかけてきた。


赤色の乗用車に反射される光はみょうに赤黒い。両親が死んだが思い出される。そういえばあの日もちょうど夏だったな。

いやいや、そんなことを考えてる暇は無い。まずいなぞ、こっち側には里奈がいるし、里奈の隣には今にも飛び出しそうな子どもがいる。


車のスピードは留まらず、おそらく急ブレーキをかけたのであろうか、車体から甲高い音が響く。

本当にまずい。


里美も車に気づいたのか、隣の子どもへと即座に目をやる。

その時、里美は子供を庇うように身をだす。


俺の足は震えていた。


車はもう止まれないだろう。初速度から加速していき今では法定速度を上回りそうな

ほど速くなっている。俺は過去の記憶がフラッシュバックし、姉と子どもの姿に俺の両親の姿が重なる。


赤色のバンパーに反射した光が俺を襲う。その光はまるで血飛沫ちしぶきをあげたかのように思わせる。


車の甲高い音をかき消すように、ドンッといった鈍い音が聞こえた。


「ぁぇ、ぇ。。??」


情けない声が俺の口から出ているとは気づくことはなかった。

ポカンとした口から、、、、いや少し上だな。まぶたからは涙が落ちていることに気づく。また家族を失ってしまったのか、ダラダラしてる姉だけど世界でいちばん愛している里美が、、、


俺は涙をぬぐいで、正面を向いた。両親の死に顔はついぞ見れなかったが、姉の姿だけは焼き付けておきたかったのである。


だがそこで、信じられない光景を目にする。


姉と子どもはその場に立っていて、車のナンバープレートはひしゃげているのにも関わらず車体はほとんど無事で、、それに姉が片手で車を止めていることに気づいた。

ポカンとした口がさらにあんぐりする。

えええぇ!? 車を片手で止めた!?そんなことできるん??


俺はしばらくあんぐりしていた。


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