「どうしたの?」から始まる君との時間

奏流こころ

第1話 昼休み

(昼休み。鞄を漁る音)


「どうしたの?何かあったのかな?」


 一生懸命に、焦った顔で漁るから気になってしまったけど、どうやらを忘れたらしい。


「お弁当忘れたの?それはドンマイだね」


「えっ?お財布も忘れちゃったの?ご愁傷さまだね」


 おっちょこちょい、いや、忘れっぽいのかな?

 とりま、ついに活躍する時がきたね。


(鞄の中の擦れる音)


舘畑たちばた君」


 先ずは、お弁当箱を見せて反応を見よう。


「これなんだけど…お弁当食べたい?」


「生唾を飲み込む音が聞こえてきそうなくらい、お腹空いています助けて下さい、て顔しているね」


 眼差しから欲しいが伝わってくる。 

 でも、プライドなのか、遠慮しないとと思っている様子。

 なんか、可愛いかも。


「そんなことないの?おかしいな~」


「からかわないでって言われてもな〜」


(弁当箱を机に置く音)


(楽しそうに鼻歌、鞄の中の擦れる音)


「お!これはこれは…」


「じゃーん、じゃーん…じゃっじゃーん♪」


「もう1つお弁当がありましたー!」


「早弁の為に準備していたのさ!えっへん!」


「なので、はい」


(机の上にゴトッと弁当を置く音)


「食べてね♪じゃっ!」


(軽やかに駆けていく音、静かに戸を開けて閉める音)


 本当はいつか食べてもらえるように毎日作っていたから良かった、美味しいって言ってくれるかな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る