身体が変わったのに?

古都礼奈

身体が変わったのに?

ある日の朝、田中家では奇妙な出来事が起きた。


母の彩香(40歳)と娘の美咲(17歳)が目覚めた瞬間、お互いの身体が入れ替わっていることに気づいた。


最初は夢だと思ったが、現実であることを認識するのに時間はかからなかった。


「お母さん、どうしよう!これって本当なの?」綾香の声で美咲が叫んだ。



「落ち着いて、美咲。まずは冷静に考えましょう。」美咲の姿の綾香は深呼吸をして言った。


学校へ行く準備をしている美咲は、母親の身体で制服を着ることになった。


鏡の前で制服姿を見た瞬間、その違和感が新鮮で楽しく感じ始めた。


「なんだか変な感じ…でも、ちょっと楽しいかも。」美咲は鏡に向かって微笑んだ。


彼女は思わずいろんなポーズを取り始めた。


制服のスカートを整えたり、可愛らしいポーズをとってみたり、さらにはアイドル風に手を振ってみたりした。


「お母さんの身体でこんなことするなんて、誰も見てないから大丈夫だよね。」


美咲は一人でクスクス笑いながら、さらに様々なポーズを試みた。


制服姿の母親の身体は、いつもの自分とは全く違う印象を与えた。


美咲はその違和感を楽しむように、次々と新しいポーズを取っていった。


手を腰に当ててモデルのように立ったり、髪をかきあげる仕草をしてみたり、まるでファッションショーのように鏡の前で動き回った。


「これ、ちょっと面白いかも!」美咲は鏡に映る自分の姿に満足げに笑みを浮かべた。


その様子を、美咲の姿の綾香が見てしまった。


娘の身体であっても、中身は自分の母親が恥ずかしさを隠せず、顔を赤らめながら言った。


「ちょっと美咲!そんなことをしないで!」彩香は手で顔を覆った。


「えへへ、お母さんの身体でこんなに可愛いポーズ取るの、ちょっと面白くてつい…」美咲は笑いながら言ったが、母親の表情を見て少しだけ反省した。


「でも…その姿でそんなことするのはやっぱり恥ずかしいわ。」彩香はため息をつきながら、娘の無邪気さに少しだけ苦笑した。


学校に着くと、不思議なことに美咲が母親の身体になっているにもかかわらず、学校の友達、先生たちは彼女をいつも通りの美咲として扱ったことだった。


「美咲、今日は数学のテストがあるから頑張ってね。」担任の先生が普通に声をかけた。


美咲は自分が母親の身体にいることを実感しつつも、周りの人々には何も気付かれていないことに戸惑いながら学校生活を送った。


友達との会話や授業も、普段と変わらない様子で進んでいったが、母親の身体での生活が新鮮で楽しく感じ始めた。


体育の授業では、母親の身体であることをすっかり忘れ、全力でバスケットボールをプレイした。


運動能力が思った以上に高く、友達と一緒に笑いながら汗を流すのが楽しくて仕方なかった。


「美咲、今日はすごく動きが良かったね!」「本当に?なんだか今日は調子が良かったの!」


授業が終わった後も、廊下を走り回り、友達とふざけ合う美咲。


母親の身体での新しい体験に、まるで子供のようにはしゃいでいた。


一方、美咲の姿をした彩香は職場に行くことにした。


職場でも、同僚たちは彼女をいつもの彩香として接し、何も違和感を持たなかった。


「彩香さん、今日は会議があるから資料の準備をお願いします。」上司が言い、いつものように資料を作成した。


しかし、彩香は娘の身体で動くことが意外に楽しいと感じていた。


普段の疲れがなく、軽やかに動けることに気付き、次々と仕事をこなしていった。


会議の準備だけでなく、オフィスの整理や、他の同僚の手伝いまで積極的に行った。


「彩香さん、今日すごく活発ですね!」「ええ、なんだか今日はエネルギーが溢れているみたいです。」


彩香は美咲の身体で過ごす一日に、普段の自分ではできないほどの効率で仕事を片付けていった。


放課後、二人は再び家で顔を合わせた。


お互いの一日の出来事を話し合い、どれだけ大変だったかを共有した。


しかし、話の中で、実は楽しいと感じた瞬間も多かったことに気付いた。


「お母さんの身体での体育の授業、すごく楽しかった!みんなにも全然気付かれなかったし。」

「美咲の身体での仕事、こんなに軽やかに動けるなんて知らなかったわ。」


二人はこの奇妙な体験を楽しむことに決め、もうしばらくこのままの状態で過ごすことにした。

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身体が変わったのに? 古都礼奈 @Kotokoto21

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