人形の夢と目覚め

@21wakana.

第1夜

目の前には暗闇が広がっていた。

古民家の廊下のような場所だ。

この場所、どこかで見た事がある。

そうか、僕の家だ。

それにしても暗すぎる。

明かりになるものは無さそうだ。

スマホも持っていない。

長い廊下の奥は襖から光が漏れて少しだけ明るくなっていた。

あの部屋は妹、花菜の部屋だ。

僕が言えたことではないが、こんな夜遅くにまだ起きているのか。

少し様子を見に行くことにした。


廊下の奥についた。

電気を消し忘れて寝ている可能性もある。

そう思い、静かに襖を開けて部屋に入った。

ベッドの方を見る。

だがそこに花菜はいなかった。

すると、バンッと勢いよく襖が閉まる。

僕は驚き振り向いて襖を開けようとした。

でも襖は開かなかった。

花菜のいたずらかと思ったが、花菜はまだ7歳。

16歳の男の僕より圧倒的に力がない。

僕が開けられないほどの力で襖を抑えられるはずがない。


ふと、後ろに気配を感じた。

振り向くとベッドの上に日本人形があった。

花菜のお気に入りの着物と同じ柄の着物を着て、髪型も花菜と同じ髪型をしている。

そして顔までも花菜にそっくりな日本人形に不気味さを覚えた。

他にも異変がないか部屋中を見渡すが、特には無さそうだった。

もう一度日本人形に目をやると、それは少し微笑みながら鼻から血を流していた。


「なんだ、夢か。」

アラームが鳴り、僕は目を覚ました。

それにしても珍しく朝から騒がしい。

何かあったのかと僕は廊下に出た。

そして赤く染まった花菜の寝巻きを洗濯機に入れている母に何かあったのかと尋ねた。

「花菜、すごい量の鼻血が出たみたいで。」

「鼻血?」

夢と重なっているのか。

いや、流石に偶然だろう。


心配だったので念の為花菜の部屋へ行った。

花菜は何事も無かったかのような顔で元気そうに微笑んでいる。

元気そうで少し安心を得た僕は花菜の部屋を出ようとした。

振り向きざまに箪笥の上に日本人形が飾ってあるのを見つけた。

その日本人形は髪型や顔は花菜似ていないものの、着物は確実に夢と同じものだった。

なんだか、気持ち悪い。

だが、あまり気にするのも良くないだろうと、日本人形のことは考えないように一日を過した。

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