24 ポーションバッグ
一度ギルドに寄って採取依頼を受けてきた。
受けた依頼は先程と同じもの。
他にも『採取[急ぎで《レッドベリー》が欲しい]』というものがあった。
受けなかった理由は《レッドベリー》がまだ行ったことのない『ウィスパーの森』にあるらしいというのと、期限が6時間だったから。
どこに生えているか、どんな見た目なのか知らない《レッドベリー》を6時間で10個っていうのは厳しいかなっと思ったからだ。
一応、薬草の品質を調べに『ウィスパーの森』には行く予定。
その時に採取して、10個採れれば後から依頼受けて、その場で納品もできるからね。
これなら時間を気にせずに採取できるし、依頼失敗も無いから気が楽だ。
「あ!おーい、あんた大丈夫か?」
門の方へ向かっていると、門番に声を掛けられてビックリする。
しかもいきなり質問。どういう意味なんだろう。
「あー、いやスマン。あんた『トランクワル平原』に出て行った後、この門に戻らずに【モノーン】から出てきただろう?だからモンスターにやられて【復活の儀】で戻って来たんじゃと思ってな。」
確かにそうだ。
門番ならこの程度すぐに分かってしまうのだろう。
でもわざわざ指摘されると、何というか気まずい気持ちになってしまった。
「いくら神が呼んだからって、人には向き不向きがあるだろ?無理に外に出て行かなくても、街の中でできる依頼もあるわけだし、せめて装備を整えてからにしても良いじゃないのか?」
もしかして、心配してくれてる?
お父さんが私とお母さんに心配してる時みたいな言い方。
……あ、そうか。
この人ほんの少しだけお父さんに似ているんだ。
責任感が強くて、ちょっと不器用、でも優しいところ。
お父さんと違ってデリカシーに欠けてるから、最初気づかなかった。
でも気づいたら少し身近に感じるというか、話易くなった。
「もう採取しかしないから大丈夫です。」
「そうか、それなら問題ないか?いやでも擬態してたり、予想外に戦闘になることも無いわけじゃないしな……。……そうだ、あんたにコレやるよ。」
そう言って渡されたのはベルトに付けるタイプの小さなウエストポーチだった。
結構しっかりとした作りで、買ったら高そうだけど良いんだろうか。
「俺の姉ちゃん手芸が好きなんだよ。で、来訪者全員に渡すって張り切ってたんだけど、間に合わなくて。必要そうなヤツから渡してくれって言われてたんだよ。だから気にせず使ってくれ。」
そういう事なら、むしろ使わないと失礼だよね。
有難く使わせてもらおう。
「その《特小のポーションポーチ》は1つだけだがアイテムが入る。鞄から取り出すよりずっと早くポーションを使えるはずだ。いいか?【復活の儀】があるといっても無茶しすぎるんじゃねぇぞ。」
「ありがとうございます。」
あの時ポーションを使うことが頭からすっぽり抜け落ちていたことは黙っておこう。
言ったら滅茶苦茶心配されそう。
「そうそう、姉ちゃんはクラフト部屋を貸し出しているんだ。手芸だけじゃなくて料理とかもできるらしいぜ。姉ちゃんの手作り品も売ってるし、興味があったら行ってみろよ。」
《特小のポーションポーチ》
ランク:1
品質:★3.1
重量:2.00N
分類:装備(装飾品/小鞄)
非常に小さなウエストポーチ。
ほとんど入らないが、あれば便利。
耐久:150/150
加護:―
詳細を見るとこんな感じだった。
品質が今までの装備品と違って★3.1っていう中途半端な数字だった。
採取したときとかも中途半端な数字だった。
お姉さんの手作りって言っていたから、既製品と手作りの違いなのかな?
でもこの世界は現実と違って工場で大量生産している訳じゃないんだよね。
実際、薬屋でも”いくら作っても間に合わない”とか”今できたばかり”みたいなこと言ったし。
ただの偶然なのかな?
気にしても結局分からないので、一旦置いておこう。
それより装備しよう。
付けてみて改めて見てみる。
シンプルなのがオシャレな革製のポーチだ。男女共に使いやすそうなデザイン。
それにベルトに付ける紐と蓋を締める紐が別なのも使いやすそう。
手芸は好きだし、後で行ってみようかな。
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