スローペース・スローライフ～園芸とクラフトのためのVRMMO～

閑話 大鎌使い（希望）のBOO

　俺は大鎌が大好きな男。

　武器が選択できるなら絶対に大鎌。むしろ大鎌を使いたいがためにゲームをしている。

　いつから大鎌が好きかと言えば小学生の時。

　そのころ漫画やアニメのキャラに大鎌が武器のヤツが多かった。

　俺は大体そのキャラが好きになっていた。理由はモチロン大鎌がカッコイイから。

　身長より大きい鎌を振り回して敵を倒す。ロマンがある。

　しかも大鎌使いのキャラって大体強キャラなんだよ。

　クールなヤツも、チャラけたヤツも、普段はオドオドしてるヤツも、戦闘になったら大鎌で敵に一撃必殺な大ダメージを喰らわすんだ。

　そんなのもう少年心にクリティカルヒットするだろ？俺はした。

　そこから俺の中の好きな武器種ランキング堂々の第1位を取り続けてる。

　ゲームで大鎌を選べるなら絶対大鎌。

　選べなくても大鎌の見た目があるならソレを選ぶ。

　もう大鎌が使えるならそれだけで神ゲー。

　なんせ大鎌使えるゲームって結構少ない。

　この前までしていたゲームも一応大鎌が使えた。

　ただスキンで使えるだけでモーションや技名がそのままだから正直物足りなかった。

　まぁ有料DLCも買ったし周回もしたし満足っちゃ満足だが。

　そんな俺が次に目を付けたのは”BLUE（ブルー） OCEAN（オーシャン） ONLINE（オンライン）”、公式はBOOって呼んでるがネットじゃボオやらブーの方が主流。

　PVには大鎌は出てこなかったし、大鎌の情報も無かったが

　……俺の第六感が大鎌があると言っている！

　というか無かったら俺が作ってやる！

　自由度が高くて生産にも力入れてるらしいから、いけるいける。

　そういうわけでβテスターに応募して、当たった。

　やはり大鎌に呼ばれているんだな。

　当然俺は死神も好きだから、大鎌の死神として遊びたいわけ。

　ということで俺のキャラはヒューマンの銀髪イケメン男にした。

　やっぱさ死神みたいなキャラはあえて一番平凡な種族が良いんだよ。

　変に尖っているとそっちに目が行って大鎌が目立たなくなる。

　俺の中の死神のイメージはダークなモノトーン。

　黒髪にしようかと迷ったけど、服を黒にしたいからメリハリをつけるためだ。

　顔は好きにいじれるのに、わざわざイケメンにしない理由がない。

　これがVRMMOじゃなかったら美少女か迷ったんだが、俺の見た目だからな。

　中身を知らないヤツに女扱いされるのは鳥肌が立つ。

　スキル構成は〈心得：棒〉〈心得：槍〉〈知識：基礎魔法〉。

　心得の中に大鎌は無かったから、派生スキルの元となるスキルを狙ってみた。

　俺の経験則では薙刀が1番近いモーションだが、それも無かった。

　そうなると次に近いのは棒術。

　だが作品によっては1m未満の棒の時もある。

　だから槍術も構成に入れておいた。

　まぁ念のためだ。これでどっちかには掛かるだろう。

　ちなみに場合によっては剣から派生するときもあるが、剣系の心得が3つもあったから逆に大鎌への派生は無いと睨んでいる。

　最後のスキルは〈基礎魔法〉にした。

　もっとスキルを選べるなら〈知識：闇〉とか〈技術：魔力制御〉とか〈技芸：弱点狙い〉とか色々欲しかったんだが。

　特に〈闇〉！

　すげぇ迷った！

　迷ったけど基礎の出来てない死神はカッコ悪すぎるから止めた！！

　名前をヴィンにする。

　長年愛用してる名前だ。

　由来は特にない。

　ただ『ヴ』の響きがカッコイイから使いたかっただけだ。

　実は中学の頃にしてたゲームで、グリムリーパーと名付けていたんだ。

　そのゲーム二つ名が名前の前に付くんだが、死神ロールをしてた俺が取った二つ名が『グリムリーパー』。

　グリムリーパーグリムリーパーになってしまった。

　強制で付けられて自分じゃ変えられないから酷かった。

　せめて間に・（点）とか／（スラッシュ）とかあったらマシだったんだろうが、そんなのは無く。

　すげぇダサい。

　マジであの時程オフゲーで良かったと思ったことはない。

　それ以降俺はキャラ名を固有名詞にすることはやめたのだ。

＊＊＊＊＊

　このゲームの感想だが、すごい。

　マジで異世界って感じ。

　グラは良いし、NPCは性能良い。ゲーム自体はそこそこ満足。

　大鎌は気長に探すとして、不満点があるとしたら敵モブが弱すぎること。

　『グリーンスライム』は攻撃前に震えるからモーション丸分かり、しかもその時の方向にしか体当たりしないから簡単に避けられる。

　『グラスラビット』は基本逃げるんだが、5秒くらい溜め時間があって被ダメで解除されるんだよな。つまり攻撃し続けたら逃げる前に倒せる。

　明らかに弱く作られている『ナニカノマユ』は置いといて、いくら最初の街だからって弱すぎ。

　しかも全部非アクティブ。

　これはさっさと次の街に行った方が良いな。

　とは言え最初の街の探索をしないってのもゲーマーとしてアレだし、店くらい見て回っているところだ。

　次の店は『道具屋　モノーン道具店』。

　さて、めぼしいモノはあるかなっと……ってこれは！！

　鎌だ！

　サイズは小さいが鎌だ！

「なぁ兄ちゃん！これ！」

「はいはい、それね。《安価な草刈鎌》2000シェル、買うかい？」

「2000シェル……足りん！」

「あー、それは残念。」

　くっ！せっかく見つけたのに意外と高い！

　安価じゃないのかよ！

　棒と槍の2つ武器を持ってるから売るか……？いやそれでも2000シェルにはいかないだろう。

「……俺の大鎌使いへの道が！」

「ん？武器として使いたいの？これ採取道具だから〈心得：生活〉無いとダメだよ。」

「スキルまで必要なのか！！」

　チュートリアル達成用に討伐クエスト1つしただけだからスキルポイントも足りん。

　ここは金稼ぎとレベ上げのためにこの街でクエストをしていくか……！

「出直してくる！！」