09 依頼クエスト

 『依頼受付』に行く。

 こちらは『総合受付』みたいに混んでいない。

 むしろ黒シルエットは誰も居なかった。

 


「こんにちは、こちらは『依頼受付』です。どのようなご用件でしょうか。」

「あの『マッチングパーティー』っていうのは……?」

「『マッチングパーティー』ですか?……ああ、来訪者さんは制度をそもそも知らないですもんね。ご説明します。」

 

 驚きながら聞き返してきたけれども、すぐに1人で納得された。

 その反応に私も驚いてしまったが、私にお構いなしに説明が始まってしまった。


 

 『マッチングパーティー』の詳細を要約するとこんな感じ。

 『オートマッチング』と『指名マッチング』の2種類があり、一長一短みたい。

 

 

 まず『オート』は初期費用がいらない代わりにパーティー編成が偏る可能性がある。

 得た素材は山分けするらしい。

 そういう魔法契約とやらを結ぶから、自動的に入手量が等分されるそうだ。

 

 

 対して『指名』は最初に指名料が必要で、代わりにそういった心配がない。

 ただ場合によっては、パーティー加入を断られる事があるそうだ。

 それから素材はプレイヤーがどれを貰うかの優先権がある。入手量も7割がプレイヤーで残り3割を指名したパーティーが等分する。

 雇い主特権らしい。

 もちろんこれも魔法契約で管理されているから、揉め事にはならないらしい。

 


 

 イメージは『オート』が対等なパーティーで、『指名』が半分雇い主扱いなのかな。

 

 

 正直よく分かっていないけれど、いきなり使う感じじゃなさそう。

 というのも説明を聞いたときの受付NPCの反応。

 あれはきっと『周囲のモンスター弱いけど本当に使うの?』っていう事なんだと思う。


 NPCとはいえあの反応されるのは恥ずかしい。

 当然のことが分かってない人みたいな。


 

 そういうわけで一旦『マッチングパーティー』のことは忘れて、チュートリアルクエストの続きをしていこうと思う。




『特殊クエスト チュートリアル④ クエストを受注しよう

 ……『ギルド』にある『依頼クエストボード』または『依頼受付』で任意の『依頼クエスト』を受注できます。『依頼受付』では依頼の詳細等の確認ができます。

 また依頼内容や達成状況は『メニュー>依頼書』から確認することができます。

 達成した依頼は『報告受付』に報告する事で報酬を得られます。▲』


 

 これはさっき聞いた説明そのままだね。いや受付の方が説明あったかも。

 まぁこっちの簡潔な説明でもチュートリアルクエストを達成するには十分かな。

 


 

 『依頼クエストボード』にも他のプレイヤーさんがいる。

 今度は気にせず『依頼クエストボード』に近づく。

 

 あ、見た目は掲示板に紙が貼っているタイプだけど、近づいたら『依頼クエストボード』って書かれたウィンドウが表示された。

 なるほど魔法契約って何だろうと思ったけど、どうやらゲームのシステムをことを指していたみたいだね。



 ウィンドウには『+ランク0』『+ランク1』『+ランク2』と書かれているが、『+ランク0』以外のところは文字が灰色になっていた。

 『+ランク0』のところを押すと『-ランク0』となって折り畳まれていた依頼が表示された。

 試しに他のランクを押しても反応がなかったので、自分のランクより上の依頼は受けられないみたい。

 まぁランク分けをしてるなら当然だよね。


 

  

 さてどんな依頼があるのかな。

 ゲームが始まるという実感が出てきたワクワクと、私にできるかなという不安のドキドキを感じながら、依頼クエストボードに目を通す。




 今あるのは『採取[《ヒールリーフ》を取って来て]』『採取[《マジックミント》も取って来て]』『採取[《ヘルスハーブ》も忘れずに]』『採取[何でもいいから薬草を!]』

 他には『納品[《スライムコア》が欲しい]』『納品[《グラスラビットの肉》を頂戴]』『納品[個性的でステキな物作り]』『納品[挑戦者を望む!]』。

 それから『討伐[グリーンスライムの討伐]』『討伐[グラスラビットを狩ってみよう]』『討伐[仇をとってくれ!]』

 あとは『よろず[話し相手になって]』『萬[【第二の街ジブル】への配達]』などなど……。




  どうやらフィールドからアイテムを採ってくる『採取依頼』とモンスターの素材を納品する『納品依頼』。

 モンスターを倒すことが目的の『討伐依頼』、その他の様々な内容……言葉を選ばないなら雑用みたいなものもある『萬依頼』。

 依頼名だけでは分かりにくいモノもあるけれど、何となくの傾向はこんな感じかな。

  

 

 ……ところで、この採取依頼って同じ人が出してるのかな。

 どんどん悲鳴っぽくなってるような。ちょっと怖い。

 とはいえ元々戦闘は微妙って思ってたし、納品依頼と討伐依頼が同じモンスターみたいってことしか分からないなぁ。

 

 

 萬依頼は他にもあるけど目に付くのは、話し相手になるのと次の街へ行く事。

 次の街はチュートリアルクエストにあるからそのうち行くだろうけど、今は無理。

 話し相手はもっと無理。

 だってわざわざ依頼する相手と会話なんて、怖いし知らない人との会話とか私にはハードル高い。

 こういうのは優しくてコミュニケーションに苦手意識がない人が向いていると思う。私には無理。

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