第4話

死ぬ。

言葉にすると、たったの二文字。

でも、それは1人の命が損なわれること。

周りの人に、大きな影響を及ぼすこと。

誰も、死なないで欲しい。

――そんなのは理想論だ。

誰だって、嫌いな人はいる。

誰だって、誰かを恨んでる。

見た目が、どうでも。

とっても優しくても。

あなたが死んで欲しいのは紛れもなく私だろう。

だって、私はあなたに死にたいと思わせるほどの罪を犯したから。

それを返したいと思うのは普通だろう。

怨念を、全力で。

それが怖い。

心の中で慕っていた人に、嫌われることが怖い。

しょうがないって分かってる。

でも、でも――。

私は、あなたから離れずにはいられなかった。


あなたを全力で避けた。

できるだけ合わないようにした。

視線を合わさないようにした。

でも、気づいたらあなたの方を見てしまっていて。

無自覚な自分が恥ずかしい。

話しかけられても、答えられなかった。

この自分の言葉で、人生が変わると思うと怖くて。

体が震えた。

口が、重くて。

何もできなかった。

そんな私を、認めてくれる人は少しだけ、いた。

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