第3話

サイバー・スクワッド。ロクス内で起こる犯罪やゲームの違法行為などを取り締まる組織。いわば、ネットの警察。日本各地から先鋭されたメンバーで構築されている。俺と真珠と桃愛もメンバー。亜砂花さんは俺達の上司に当たる。

 俺達はそのサイバー・スクワッドの本部施設がある電界島(でんかいとう)・北エリアへ亜砂花さんが運転する車で向かっていた。

 助手席の車窓から見える電界島の街並みはいつ見てもあまり変わり映えしない。まぁ、いきなり街並みが変わったら怖い。

 俺達が住む電界島は太平洋に浮かぶ人工島。人口は約150万人で面積は大阪市程。

 電界島は中央エリア・北エリア・東エリア・南エリア・西エリアの5つのエリアに区切られている。

 北区にはサイバー・スクワッドの本部の他に様々な研究施設などがある。だから、許可書を持った人しか入れないエリアである。

「今回はどんな事件なんですか?」

「今話すより、本部で映像を見た方がいいわ」

「そうですか。分かりました。着くまでおとなしくします」

 ここでは言えない事もあるか。それに運転中だったな。運転に集中してもらった方がいいよな。

 俺はバックミラーで後部座席に座る真珠と桃愛を見る。

 真珠はパソコンを開き何か作業中。桃愛は《ヴィレロ》でレトロゲームを堪能している。今からサイバー・スクワッドに行くのに緊張感ゼロだな。まぁ、それがいい所なんだけど。


 サイバー・スクワッド本部。ゲーム犯罪科司令室。

 俺と真珠と桃愛は司令室中央に設置されているテーブル前の椅子に腰掛けて、壁に設置されている大型モニターを見ている。

「今回、貴方達に追ってもらうものはこれよ」

 亜砂花さんはリモコンを操作して、大型モニターに黒いダイヤモンドの画像を表示させた。

「黒いダイヤモンド?」

 真珠は言った。

「そう。これはブラック・ダイヤモンド。ゲーム内のステータスを思い通りに変更できるもの。どんなゲームにも対応してるの」

「チートじゃん。ずるい」

 桃愛は率直な感想を述べた。桃愛の言うとおりだ。チートすぎる。ゲームバランスを故意に変化させる。そんな事すればプレーヤー同士の均衡が保てなくなり、ゲームをつまらなくしてしまう。

「貴方達にはこのブラック・ダイヤモンドの入手経路などを捜査してもらう」

「了解。ロクスに行って調べます。何かあれば指示を出して」

「えぇ、そのつもりよ。けど、無理はしない事。あと、今日は3時間だけでいいから。貴方達はまだ高校生だから」

「はいよ。じゃあ、ロクスコクーンを使うよ」

「私も行ってきます」

「仕方ない。あたしも行きますか」

 俺達は椅子から立ち上がり、司令室をあとにした。

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