死にたがりの君に恋をする

夜歌

第1話

「死にたい」そう呟くのは威吹鬼 翠(いぶき すい)

高校2年生。

主人公 風魔 憐(ふうま りん)の幼馴染だ。

燐も翠と同じ高校2年生だ。

今は帰りのホームルームが終わったあとの教室だ。

外は夕焼けになっていて綺麗だ。

今の季節は夏だ。

補習があり、燐と翠は学校に残っていた。

「どうした?またなんかあったの?」と聞く。

「実は、またお父さんから暴力ふるわれて」と泣きそうになりながら説明する翠。

翠のお父さんは翠に暴力をふるう。

翠のお母さんは早くに亡くなっているため、誰も翠を助けようとはしてくれない。

祖父母は会ったことがないため、どういう人なのか分からないらしい。

「そっか」としか返せない自分が嫌になる。

「いつも話聞いてくれてありがと燐。」と言われ少し嬉しい気持ちになる。

「なにもしてあげれなくてごめんね」と燐が言うと、

「話聞いてくれるだけでも嬉しいよ」と笑顔で返してくれる翠。

「そっか」とまた返す。

(俺にできることはなにもないのかな。)と思う燐。

「今日、燐の家に泊まってもいい?」と聞いてくる。

「うん…いいよ」と言う燐。

たまに翠は燐の家に泊まりに来る。

泊まりに来るときは必ずお父さんから暴力をふられた次の日なのだ。

「やっぱ暴力ふるわれたら帰りたくない?」と聞く燐は少し聞いていいのか迷った表情だった。

「そうだね」と答える翠は少し曇った表情をした。

「帰りにソフトクリームでも食べて帰る?」と聞く燐。

「食べたいけどアイスがいい!」と明るく答える翠。

「また、いつもの抹茶アイス買うの〜?」と燐は笑顔を作って話す。

「抹茶アイス美味しいじゃん〜」と言う翠。

「美味しいけど、俺はチョコミントが好きだなぁ」と言う燐。

「一口頂戴!」と言う翠。

「えぇ〜、また?」と言ういつもの会話をする2人。

そこに「おーい、配ったプリントできたか〜?アホ2人」と言う担任の紅石(あかいし)先生の声が聞こえてきた。

「やば!紅石先生来ちゃった!」と焦る翠。

「まだ、終わってなかったのか?」と言う燐。

「話すのに夢中になってたの!」と言う翠。

「紅石先生!俺は終わってます」と言う燐。

「おう、そうか!見せてみろ」と言われ国語のプリントを渡す燐。

「おい…はぁ…お前全部やり直せ」と言われてしまう燐。

「えぇ!?なんでですか!」と言う燐。

「漢字のプリント渡したはずなんだがなぁ〜…お前の解答全部文章なんだが」と言う紅石先生は呆れている。

「漢字で文章を作れってことじゃないんですか!?」と驚く燐。

「いや…解答の幅的に漢字書くってわかるだろ…

あと問題文にも書いてある…」と言う紅石先生。

「俺、問題文読まない主義なんで!」と元気よく言う燐。

「…お前留年しても知らねぇぞ?」と言われてしまう燐。

「燐は馬鹿だから留年するでしょ」と言う翠。

「威吹鬼、お前も人のこと言えねぇぞ?」と言われてしまう翠。

「え!?なんでですか?」と言う翠。

「ことわざ、全部違うぞ」と言う紅石先生。

「え!?そうなんですか!?」と言う翠。

「翠、お前もこっち側の人間だ!」と言う燐は楽しそうに笑う。

「ちょっと!燐と一緒にしないでよ!」と言う翠はほっぺを膨らまして拗ねているようだ。

それを見ていた紅石先生は「お前ら学校ではイチャイチャあんまするな」と注意する。

『イチャイチャしてません!』と翠と燐が同時に言う。

「お、おう…そうか」となんとも言えない表情をする紅石先生。




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