第6話死闘

 ゼネスはレッズ達の行方を掴みかけていた。現在フラットタウンという街に滞在しているらしい。


 ゼネスは自身より上位の魔人グランよりレッズ殺害を命じられていた。今ついに実行に移す時が来たのだ。


 街で騒ぎを起こせばあの男を釣れる。そう考えた。


 そしてそれをついに決行する。


 人気の多い場所がいい。そこで魔人は大魔法を放つ「ヘルフレア」!!


 何人かが焼け焦げ、あっという間に周囲は混乱の渦に叩き込まれた。


 魔人は嗤う。「いつ聞いても人間の間抜けな悲鳴と言えばまあ...。」


 そして、お目当ての人物に出会う。


 「貴様!ゼネス!こんな事をしていいと思っているのか!?」


 「私達がいちいち人間の塵芥の命を気にかけるかと?答えは否。どうでもよろしいのです。」


 レッズとキーナはゼネスに憎悪の目をぶつける。


 「怖い顔も出来るのですね。さあお命をいただきに来ました!」


 レッズは先手を打った。その禍々しいとさえ言われた大剣を振るう。


 ゼネスはその怪力で片手一本で大剣を受け止めた。しかし、レッズが力をさらに込め、押し合いになる。


 すかさずキーナが初っ端から必殺の「ビックバン」を放つ。


 何とこれが効いたようで。「ビックバンですか。こんな少女が超級魔法を扱うとは興味深い。」


 ゼネスに微量だがダメージを与えることに成功した。


 次はゼネスが攻撃を仕掛けるも人気もなくなってきたのでレッズとキーナも本気を出せる状況にはなった。


 超級魔法「ヘルシャイン」!!ゼネスは目眩しのつもりで使った。


 しかし、レッズは初見ではない。キーナに指示し、2人して目をつむり、対処する。


 だが、そこを付け狙われた。


 超級魔法「ヘルバースト」!!レッズ達を爆弾のような衝撃が襲う。


 レッズはその大剣でキーナの前に立ち衝撃を防いだが、地面の伸びた足跡がその威力を訴えている。


 魔人の魔力量は絶大だが、キーナもそれに匹敵すると大学の魔導講師に言われたのだ。その本領を発揮せんとする。


 「レッズさん!私の攻撃はどうやら有効かもしれません。どうか少しばかり時間を稼いでください!」


 「了解だ!」 


 「面白い魔導士もいたものですね。しかも若い。将来がさぞ楽しみだったでしょう。ここで、命運を断ちますが。」とゼネスはニタリと不気味な笑みで詠唱する。


 「汝、今我の問いに答えよ。絶大なる支配者の我の前にその姿を顕現せよ。」


 ゼネスは獰猛な魔獣を召喚した。デスケルベロスといわれる種類だ。


 「この魔獣は煉獄に生息していましてね。魔界よりもさらに魔力に満ちた世界です。これでトドメといきましょうか。」


 レッズはデスケルベロスの対応に追われながらも、何とかゼネスの猛攻を防いでいる。


 その時。


 「レッズさん準備が整いました!」


 「おう!頼んだぞ。」


 キーナが詠唱を始める。「天界より使わされし、自由の翼、汝その白い羽をここに顕現せよ!」


 そして、キーナが召喚した聖獣はなんと、


 「キーナ。お前そんな召喚魔法まで使えるように...」レッズもこれには驚きを隠せなかった。


 そこに召喚されたのは伝説に謳われた聖獣ホーリーユニコーンだったのだ。


 キーナはケルベロスにユニコーンをぶつける。ケルベロスが黒炎を穿いた。


 ユニコーンがケルベロスと一騎打ちする中、レッズとキーナはゼネスに狙いを定める。


 ユニコーンがホーリーブレスをケルベロスに放つが、黒炎で相殺しにきた。


 キーナはその圧倒的な魔力量でゼネスにあの魔法を撃ちこまんとする。


 超級魔法「ビックバンノヴァ」!!


 ゼネスも今回ばかりは躱しきれない。「ヘルブラスト」!!


 両者の魔法がぶつかり合う中、レッズはそこにチャンスを見出す。


 「うおおおおおおおおおおお!!!!!!」


 レッズの大剣がゼネスに届いたのだった。


 ゼネスはかなりのダメージを負った。「ゴハッ!」かの魔人は血を吐き出す。


 その頃、ユニコーンとケルベロスもユニコーンの方がやや優勢と言ったところだった。


 「これはまずいですね...」レッズはゼネスが退散しようとするのを見逃さない。


 「これで最期だああ!!!」レッズの大剣に埋め込まれた赤い石が何故か光る。


 「灰燼と化せ!!!」トドメの一撃をゼネスに与えた。と思われたが。


 謎の黒い霧が辺りを立ち込める。


 黒い渦が現れ、ゼネスの身体があっという間に吸い込まれた。


 「人間どもよ!これで終わりと思わないことだ!!」とまたどこからか違う声が最後に聞こえたのだった。


 「くそっ!仕留め損なったか!」とレッズは憤慨している。


 「かなりのダメージを与えました!次こそは頑張りましょう!」とキーナがなだめると。


 「キーナ。本当に強くなったんだな。」とレッズはそうこぼしたのだった。


 キーナはこの時同時に二つの意味がこもった言葉だとは気づかなかった。









 フラットタウンを発ち、ついに巨大湖の麓の神殿にたどり着いた。


 その神殿の入り口にはやはりあの紋章があったのだ。


 入り口の前にとある老人が立っていた。


 「主達よ。この神殿に挑戦するつもりなのか?」


 「ああそのつもりだ。」


 「その赤髪は...いや何でもないわい。1番奥の部屋に水晶がある。各々手をかざし、試練を受けてもらう。そして、それを打ち破ったのならこの神殿で守られし、宝物を与えても良いじゃろう。」


 「わかりました。その試練受けさせてもらいます。」とキーナはやる気満々で答えた。


 そして2人は神殿に入った。


 中を見てみると、荘厳な柱にたくさんの像が道の端に聳え立っていた。


 レッズとキーナはそれを見て息を呑んでいた。


 そして、奥へ奥へと進んでいき、水晶のある部屋を見つける。


 しかし、そこには無数の骸骨たちがあった。


 「どうやら試練に失敗した方たちのものでしょうね。」


 「ああ、そうだな。俺が先に手をかざす。キーナは後に続いてくれ。」


 「わかりました!」


 レッズは水晶に手をかざす。そしてレッズは意識を失った。


 「レッズさん!!大丈夫ですか!」とキーナは阿鼻叫喚した。


 しかし、落ち着いて考えた結果。


 「これは精神世界と繋がっている?いずれにしても私も続かなきゃ!」とキーナも手をかざした。


 そして、2人して精神世界へと引き摺り込まれた。


 そこは、真っ白な空間だった。しかし、鮮明にキーナは前世の記憶が頭にフラッシュバックしてくる。


 「これは、前世の私の記憶。それも幸せだったと思った瞬間だわ。」


 しかし、今度は最も辛かった時のことを思い出す。


 母が何者かに殺されたと知らされた日だった。


 「いや!いやああああ!!!!!!」キーナは最も不幸だと思った瞬間に今度は叩き落とされた。


 レッズもまた同様だった。


 幸せだったと家族や友人との時間。しかし、それも長くは続かなかった。


 あの魔人がレッズの故郷にやってくるのだった。


 レッズの過去の一部が明らかとなる。


 そして、レッズとキーナの行末は。

 

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