第4話 術後のお話
いや~、最近涼しいを通り越えて、寒くなってきましたね。私の嫌いな冬が、直ぐそこまで来てます。
前回の「あーあ」で書きましたが、9月末に臓器の摘出手術を受けまして、今回は術後のお話になります。
今回の臓器を摘出する手術は、以前から予定されていました。手術の時期については、私の体調など様々な要因を考慮しながら相談を重ねていました。しかし、手術を先延ばしにしていたことで状態が悪化し、摘出予定の臓器とその周辺の臓器にも影響が及びました。特に肝臓の数値がやばくて、未だにいくつかは通常の数値を大きく超えております。
ですが手術は無事に成功し、現在体調も戻りつつあります。食事も、少しずつですが、普通なものに戻しており、来週ぐらいからは、以前と同じような食事が出来そうです。なんて思っていたら、腸炎と胃炎を発症してしまいました。
10月12日の深夜3時頃に、左下腹部にズキン、ズキンという激痛で目が覚めてしまいました。尿管結石と出血性大腸炎を経験している私は、またそのどちらかだと即座に思いました。それは、痛みがそっくりだったからです。結果、ウイルス性の胃腸炎とのことでしたので、食事を再びおかゆに戻し、今は順調に回復しております。
さて、前回お話した通り、術後直ぐに目覚めた私は、見ていた夢を必死で思い出そうとしておりました。ですが、それは叶わず、手術室から病室に戻る僅かな間に、腹部に痛みを感じておりました。前回の脊髄クモ膜下麻酔とは違い全身麻酔は、目覚めた直後から痛みを感じ始め、次第に激痛へと変化していき、病室に到着した頃には、うめき声を上げながらベッドで身体をくねらしておりました。
夢を思い出せなかった原因の一つは、この激痛との戦いもあったのではと、思っております。あと、激痛以外にも、困ったことがありました。それは、呼吸がしずらいことです。
全身麻酔中は、酸素を送るために気管挿管が行われます。気管挿管とは、口または鼻から気管内にチューブを挿入し、そのチューブを通じて酸素を直接肺に送り込む方法です。その気管挿管によって気道が刺激され、粘液の分泌が増えて呼吸がしずらかったのです。
要は、大量の痰によって呼吸が妨げられていたのです。普段であれば、ペッっと吐き出せばよいのですが、術後の痛みと疲労、そして全身麻酔の影響なのか、身体が思うように動かず、吐き出す力も無いのです。そのまま放置すると、肺炎にもなりかねないので、必死で出そうとしましたが、全然駄目でした。結局看護師さんにチューブで吸い出して頂いたのですが、これがまた苦しいんですよ(笑)
細いチューブを麻酔無しで喉の奥に挿入するので、オエオエと嗚咽は酷いし、吸い出している間はまともに呼吸も出来ないので、とにかく大変でした。
看護師さんのお陰で何とか呼吸も楽になり、口には酸素マスクを装着し、腕からは点滴を入れ、足には血栓予防の為のストッキングを
膀胱にはカテーテルを入れており、尿が勝手に排出されるので、トイレに行く必要はありません。あと絶食しておりましたので、大きい方は全然したいと思いませんでした。ですので、安静に寝ていればいいのですが、痛みで寝られないのです。
これは、手術を経験した人なら分かると思いますが、とにかく苦痛が激しいのです!(個人差があります)
映画やドラマなどで、腹部を刺されても立ち向かうシーンなどがよくありますが、正直嘘つけぃと思ってしまいます。それほどの激しい痛みが襲って来るのです。
私は今回二度目の臓器摘出手術でしたので、あの苦しみがまた来るんだろうな~と覚悟はしておりました。が、それでも想像以上でした。「う~」「あー」「ぐぅあー」「いってぇー」「じにたくうないよう」(これは言ってない)「ママー」(これも言ってない)などのうめき声を、まるで小説の中のザコキャラのように永遠と朝まで出しておりました。
勿論点滴には鎮痛剤も入っていたのですが、私の感想としては、1ミリも効果ねぇじゃん! が、率直な印象です。
余談ですが、凄く強烈な痛い止めのお薬があります。恐らくその痛み止めなら、私の術後の痛みもかなり軽減されでしょう。それは、フェンタニルやモルヒネなどのオピオイド系です。
これは医療麻薬で、日本では金庫に入れて保管されており、厳重に取り扱いされております。日本でこの薬は簡単に処方されません。ですが、とある国では、病院で簡単に処方されています。例えば、膝や腰が痛いな~とか、歯が痛いな~なんてその程度でも病院に行けば、日本では金庫に入れて保管している医療麻薬の痛み止めが処方されるのです。残念なことに、薬剤師さんの忠告を無視して間違った服薬や乱用で、麻薬中毒になってしまった、オーバードーズで亡くなってしまった、なんて方が大勢いらっしゃるのです。私の痛みの場合、その痛みで死ぬなんてことは無いので、兎に角我慢すればいいのです。なんて偉そうな事言ってますが、痛み止めをもっと入れてくれって正直お願いしておりました(笑)
術後二日たつと、この頃から少しずつではありますが、身体を起こせるようになりました。痛みもかなりましになり、スープだけですが、食事もとれるようになりました。
ですが、酸素濃度が戻らず、酸素マスクを外すと、指先に挟んでいる酸素濃度を測る装置からコードで繋がっている機械がピーっと鳴り始めるのです。それはナースステーションでも同じ様に聞こえており、鳴る度に看護師さんが来てくれました。なので私は、術後3日たっても、鼻から酸素吸う管をつけておりました。
トイレに関しては、術後二日間は看護師さんにお世話になっておりましたが、三日目からは自分で出来るようになりました。
その三日目の朝、トイレに行こうと思い、ベッドの端に腰掛けようとしました。掛け布団をベッドの隅にどけ、身体を起こした瞬間、まるで誰かに引っ張られたような感覚に襲われたのです。思わず「え?」っと声を出して後ろを見ましたが、当然誰もいません。いや、今確かに誰かに引っ張られたような? いったいどういうこと? と、怖がってましたが、直ぐに答えが分かりました。私のお腹にはドレーン(管)が2本刺さっており、それが引っ掛かっていたのです。(前回の術後はドレーン無し)
私はドレーンが刺さっている事を知らなかったので、「うぉ!?」と、声を出してしまいました。
そして、お腹から出ているドレーンを見て最初に思った事は…… (攻殻機動隊みたいですげぇー)でした。まぁ私のはただの管ですけどね。
お腹の中から出ていたドレーンの先には袋が付いており、その中には…… まぁ、あれですわ。ご想像にお任せしますが、色々入っておりましたよ。何とも言えない複雑な色をした物が……
その時ふと思ったのですが、そういえば寝ている時に、何かを腰で潰していたな…… こいつかーい! と頭をよぎりました。そして、もしかして潰した事で逆流して、この何とも言えない物をお腹の中にリバースしたのでは!? みたいな心配もしておりましたが、全然大丈夫でした。そりゃそうだ。逆流防止弁ぐらいつているわな。
ですが…… とにかくこいつがめんどうでめんどうで、トイレ行くのにも、何処へ行くのにも付いてくるし(当たり前)本当に大変でした。
病室には手術をして下さった先生が毎日様子を見に来てくれるのですが、ある日、私のドレーンから出ている袋を見て「うーん、もう外しましょうか?」と突然口にしました。「分かりました」と返事をした私は、処置室の様な所に移動すると思い、身体を起こそうとしていたら先生が「少し我慢してねぇ~」と言い、その場で「キュルル、スポン!」と音を立てて抜いてしまったのです。その時私は(ここでそんな抜き方なんかーい!)という突っ込みを入れたい衝動にかられましたが、なんとか我慢しました。さらに、私はドレーンが刺さっていた場所を縫うと思っていたのですが、そのまま放置だったので、(穴開いてるのに縫わへんのかーい!)と、その時も先生に突っ込みを入れたくて入れたくて……
まぁ、そのような感じでしたが、そんなこんなで無事に退院しまして、現在自宅にて療養中でございます。
退院してしばらくしてから、友達に言われてちょっとびっくりしたことがあるんです。「なんか体の匂いが変わったみたい」って。
思い返してみると、全身麻酔を受けた時に自分で感じた番茶みたいな匂い。それが今度は私の体から漂ってるみたいなんです。きっと一時的なものだろうけど、正直ちょっと驚きました。自分ではまったく気づかなかったです。
優しかった祖母が、いつも私に言い聞かせていた言葉があります。それは「健康だけは大切にしなさい」というものでした。当時タフガイを気取ったいた私には、その言葉の重みが理解できず、ただ耳を素通りしていきました。健康の大切さを実感することもなく、その助言を真剣に受け止めることはありませんでした。
病気をしている私から、みなさまに一つアドバイスをするのなら、それは食事に十分注意を払ってほしいということです。日本では、海外で禁止されている多くの添加物を使用しています。できるだけそれらを口にしないよう心がけることが大切です。
普段から食品ラベルをよく確認し、添加物の少ない食品を選ぶようにしましょう。また、新鮮な野菜や果物、無農薬の食材を使って自炊することで、体に優しい食生活を送ることができます。外食や加工食品に頼りがちな現代社会ですが、自分の健康は自分で守るという意識を持つことが重要です。
できれば有機栽培の食材を選んだり、食の安全性にこだわることをお勧めします。健康的な食生活は、病気の予防だけでなく、既に病気を抱えている方の体調管理にも大きな影響を与えます。
みなさまの健康と幸せな生活のために、ぜひ食事に気を配ってください。それが、病気と向き合ってきた私からの切なる願いです。
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