安藤のプレッシャー

ここで6番長妻に代打安藤が送られる

「6番長妻に代わりまして

代打、安藤 」


横浜の1塁席側の観客は大声援で安藤を迎える。


「ここで決めろよ」と僕は安藤に言った。

「ああ、決めてくる」安藤が打席に向かった。



この大事な場面で安藤を代打に出した理由は

チャンスの場面でちゃんと打ってきているからだ

僕が知る限り

初打席初ホームラン決勝打

タイムリー2ベースヒット決勝打

打ってきている。


安藤が左打席に立つ。

ピッチャーは増谷

2アウトランナー1,2塁

1球目、インコースストレート153km

バッターの安藤は手が出ずにストライク

今日の試合増谷のマックスが出た。

2球目、アウトローにチェンジアップ 130km

安藤は見送って ボール


僕はひやひやしながら見ていた。

安藤はこの場面、どういう気持ちで入っているのだろうと思った。

代打で出番がほしいと安藤が言っていた。

一打逆転の場面、安藤が監督に代打で行くから準備しろと言われたとき

うれしそうな顔をしていた。

僕が、安藤を送り出すとき、安藤は決めてくるよと言った。

僕だったら、監督に代打を告げられたとき、うれしそうな顔はできないだろう

緊張して、縮こまって打席に入っていたに違いない。

安藤は、プレッシャーや重圧を背追って打席に入っている

決してあの時、能天気に決めてくるよと言ったわけではない。

安藤は、この重圧を背負ってぼくに決めてくるよと言ったのだった。

打席で安藤の気迫が伝わってくる。


1ボール1ストライク

3球目のアウトハイのストレートを安藤はとらえた。

打球は左中間に上がってセンターが必死に追う。

2塁ランナーの高見は3塁を回る。

僕はベンチで立ち上がって打球の行方を追った。

左中間のフェンス際にボールが落ちて、大歓声が上がる。

2塁ランナーの高見はホームに帰って

1塁ランナーの松田はすでに3塁ベース手前まで来て

ホームに帰ってきた。

打った安藤は2塁ベースに到達してガッツポーズをする。


チームメイトも安藤のタイムリー2ベースヒットに喜ぶ。

みんなが安藤に打ってくれと期待していた。

横浜の観客席は、得点時のテーマ曲を歌った。

安藤は期待を背負って結果を残したのだ。

この男は、すごいと僕は思った。

今までチャンスで凡退したときもあった

スタメンで打てなくて無安打の時もあった。

けど、本当に大事な場面では打ってくれる。

電話で一度、スタメンで打てなくて悔しいと言っていた。

けど、そんな中でも代打で結果を残すんだと僕に言った。

僕は今日の安藤の姿を見て、安藤はもっと上を行く男だと僕は思った。



1対3と横浜ゴールデンウルフズがリードした。

なおも、2アウト2塁で監督に、代打行くからと言われた。

「7番常田に代わりまして 代打、柊」

ウグイス嬢が言った。

安藤が気迫の一打の後だったので、僕もこの一打席は大事にしようと

ネクストバッターズサークルで素振りを何回もする。

横浜ファンがチャンステーマが大声量で歌う。

僕は、一度冷静になろうと

呼吸をする。

そしたら周りがよく見えた。

ベンチでは、僕に声援を送っている先輩がいて

1軍の伊藤監督が僕を見守っている。

観客席では、横浜ファンの人がビール片手に応援している。

セカンドの安藤はヘルメットに手を当てて、次の走塁の準備をしている。

僕はこれなら大丈夫だと思った。


1軍のオリックスの監督が来て

ピッチャー交代を審判に告げた。

増谷がマウンドから降りてベンチに下がる。

リリーフのピッチャー赤塚が外野のレフトから車でリリーフカーが来る。

赤塚が車から降りてマウンドに行く。

投球練習を行って3球投げた。

投球練習が終わり、

右打席に入った。

ピッチャーは赤塚

初球、インコースにストレートを投げてきた。

ゆっくりしたボールが来たなと思った。

見逃してストライク

掲示板で球速を見てみると、155kmと出ていた。

やっぱり、よく見えていると思った。

さっき一呼吸してから、増谷が変わって赤塚が出てきて

投球練習をして、今にいたるまで周りがよく見えていると思った。

投球練習中の赤塚のボールもそんなに速いとは思わなかった。

2球目、アウトコースにチェンジアップを投げてきた。

僕は冷静にチェンジアップだと見極めて

流し打ちをした。

打球は、右中間を破った。

僕は、急いで2塁を目指すために1塁を大きく膨らんだ。

ライトが打球を拾うころには、1,2塁間の間に僕はいて

2塁ベースに余裕でついた。

タイムリー2ベースヒットとなった。

今日は、いつもより周りが見えているなと思った。

僕はベンチに向かってガッツポーズする。


横浜の観客が大声援であった。


1対4となって

この回は終わって

9回は横山が3人を抑えて

横浜ゴールデンウルフズの勝利となった。


僕と安藤と安枝さんがお立ち台に上がった。

「まずは、安枝選手6回無失点勝利投手です。

相手ピッチャーの茂村さんと投げ合いました。いかかでしたか」アナウンサーが言った。

「はい、茂村さんは球の威力がすごかったので、こちらも負けないように

と投げていました。」安枝さんが言った。

「その結果が勝利投手でしたね」

「はい、勝利できてよかったです」安枝さんが言った。


「続いて、初のお立ち台である柊選手

安藤選手に続いて2ベースヒットを打ちました。どんな気分で打席に立ったのでしょうか」

アナウンサーが言った。

「はい、安藤が気迫で2ベース打った時、俺も続かないとなと思い

一度冷静になりました。そのおかげで、打つことができました。」

「打った球はなんでしたか」

「アウトローのチェンジアップです。

得点につながってよかったです。」僕が言った。

「次の試合も頑張ってください」アナウンサーが言った。


「続いて、本日決勝打を打ちました。安藤選手です

お立ち台は3回目です。

ここまで、大事な場面で結果を残しています。

どんなことを思って打席に立ったのでしょう」アナウンサーが言った。

「プレッシャーや重圧を感じながら、打席に立てることを感謝して

打席に立ちました。

僕は、これまでスタメン落ちをして悔しい思いをしたので、

なんとか代打で出たいと思って打席に立ちました。

結果、2ベースヒットといい結果を出せて良かったと思います。」安藤が言った。

「これまで、初打席初ホームランと鮮烈なデビューを飾った安藤選手ですが

ファンが今日の打席期待して、たくさんの声援でしたよ。」アナウンサーが言った。

「僕のことを知ってくださる人が多くなってうれしく思います。

また、活躍できるよう練習から頑張っていきたいと思います。」安藤が言った。

「以上、安藤選手でした。3人の選手に拍手をお願いします。」アナウンサーが言った。


スタジアムにきている観客が拍手をした。

僕は、今日の出来事は忘れられないなと思った。

あんなに応援されて、僕が2ベース打った時には歓声を上げて

お立ち台でも、横浜の一員としてファンが迎えてくれて

うれしいと思った。


観客に手を振りながらベンチに戻った。

ロッカーで荷物を片づけてると安藤が来た。

「やっぱり決勝打は気持ちがいいね」安藤が言った。

「安藤はすごいよ、あの場面打てたんだから」僕が言った。

「いや、すごくなんかないよ。少し震えていたんだ

武者震いなのかもしれないけど。プレッシャーを感じて

打席に立ったけど。観客席で横浜ファンが僕の名前を書いたタオルを

広げていたんだよ。それで応援されてるんだと思って

打席に入れたんだ。」

「3回目のお立ち台おめでとう」

「ありがと」安藤が言った。






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野球小説って意外と増えてきてるのかな?


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