アザとキミと、僕。
分倍河原はじめ
プロローグ
アザが、世界の中心だった。
僕が道を歩いていると、すれ違いざまに人が振り向く。それはチラッとだったり、チラチラだったり、ジーっとだったり、人によるけど、決まって視線が向かうのは僕の顔に在るアザだ。アザが世界の全てで、アザを中心として僕の人格は形作られていく。そんな自分を酷く醜いと思う時期もあった。
でも、ものは考えようというもので、”この”アザをもった人間は僕しかいない。僕は特別なんだ。そう思うことで、ほんの少し気持ちが軽くなった。視線を感じても、僕は格好いいんだ。そう思い込むことで、僕は心を殺していった。そしていつしか、僕は人の感情というものに疎くなってしまった。
そんなとき、キミに出逢った。太陽のような眩しい光ではなく、闇夜を照らす月灯りのように、ずっと僕を照らしてくれた。そんなキミに、僕は恋をした。
キミが、世界の中心になった。
キミと出逢ったことで、僕の世界はガラリと一変した。キミと言葉を交わすことで、僕の心は息を吹き返した。
これから綴るのはアザとキミと、僕の物語。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます