第14話 野営の準備
馬鹿に付ける薬 《気まぐれアルテミスとのんびりベロナの異世界修業》
014:野営の準備
「ここらで野営にしよう」
峠まで差し掛かったところでプルートが立ち止まった。
「あの木陰がいい。前のパーティーが使った石組が残っている」
「でも、まだ陽が高いですよ」
「そうだ、他のパーティーは峠を越えて行くみたいじゃないか」
ベロナもアルテミスも少し不満だ。
「やつらは普通の道を行く、もう二時間も歩けばアケメネスの村だからな」
「だったらアケメネスの村まで行こうじゃないか、好き好んで野営することもないだろ」
「我々は違う道を行く、ほら、向こうの森だ」
「わざわざ遠回りして森を通るのか?」
「森の中に果樹園があってな。そこでリンゴを仕入れる」
「まあ、リンゴですかぁ(^〇^)!?」
ベロナは果物には目が無いようだ。
「果物を仕入れてどうする。足が早いし、かさばる。荷物になるぞ」
二人のリュックとカバンは勇者のそれで相当なアイテムがしまい込めるが無限ではない、まだまだ旅の序盤、いたずらに中身を増やしたくない二人だ。
「ポーションの代わりになる。それに熟れることはあっても腐ることがない、ちょうどこれくらいのリンゴだ」
「まあ、プチトマトかブドウほどにかわいい」
「でも、そんなにいいアイテムなら、他のパーティーも行くんじゃないのか?」
「森にはいろいろモンスターや魔物が出るんでな」
「そうか、それを先に行って退治しておいてくれるってわけか!?」
「様子を見に行くだけだ。儂はガード、旅の主人公はお前たちだ。じゃあな」
「いってらっしゃーい」
意外な身軽さで駆けていくと、先行のパーティーを追い越して森へ続く茂みの中へ消えて行った。
石組みを整えていると、一陣の風が吹いてカロンが戻ってきた。
「オヤジ、行ってきたぞ……なんだ、居ねえのかぁ?」
「あ、カロンさん、町までお使いご苦労さまでした」
「お、おお、オヤジは?」
「向こうの森に行ったぞ、明日、森の果樹園に行く下見って言ってぞ」
「ち、そうか」
「カロンさん、これから晩ご飯の用意するんですけど、いっしょに食べて行きませんか?」
「いらね。オレ、いつも一人だから。ほれ、ギルドの登録書とドロップの代金とレシートだ」
「おう、ありがとう……って、手数料が二つあるぞ、一つは手書きだし」
「ああ、オレの分だ。5%格安だろ」
「そんな話聞いてないぞ」
「文句あんのかぁ、これはオヤジも承知の上だ」
「なんだと」
「なんだぁ、やろうってのか!」
「まあまあ、カロンさんにも事情があるんでしょ。四人も弟妹がいるっておっしゃってましたし」
「ち、なんで知ってんだ!?」
「あ、プル-トさんが……」
「クソオヤジが余計なことを……とにかく、オレは行く!」
グゥ~~~
「ほらぁ、お腹空いてるんでしょ。すぐにできますから、どうぞ(^▽^)」
「おぉ……食ってやらねえこともねえけど、費用はそっちもちだぞ」
「はいはい」
「火おこすぞ」
「お、おお」
火を起こし、調理になると、意外に呼吸が合って段取りよくできる三人だった。
☆彡 主な登場人物とあれこれ
アルテミス アーチャー 月の女神
ベロナ メイジ 火星の女神 生徒会長
プルート ソードマン 冥王星のスピリット カロンなど五つの衛星がある
カグヤ アルテミスの姉
マルス ベロナの兄 軍神 農耕神
アマテラス 理事長
宮沢賢治 昴学院校長
ジョバンニ 教頭
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