第13話 カロン
馬鹿に付ける薬 《気まぐれアルテミスとのんびりベロナの異世界修業》
013:カロン
「さあ、一度町に戻らなきゃですね」
ベロナが、ギュっとこぶしを握る。
「それには及ばん、代理でいい」
「「代理?」」
ピュ
プルートが口笛を吹くと、ショートヘアの小柄な少女が降ってわいたように現れた。
「なにぃ?」
「始まりの町に行って、手続きをしてきてくれ」
「ええぇ( ¯ࡇ¯ ) 」
すごくメンドクサソウな顔をして、赤いショートヘアの頭をゴシゴシ掻く。
「儂らは先に行ってる、ほら、記録とドロップを渡しておく」
「おお」
ショートヘアが腰のタガーを少しだけ抜くと、プルートのソードの束から小さな三つの光の玉が出てきてタガーに移される。
パチン
タガーを鞘に納めると、もう回れ右をするショートヘア。
「挨拶ぐらいしていけ」
「それには及ばん」
プルートそっくりな捨て台詞を残してショートヘアは消えてしまった。
「なんだ、あいつ(`へ´)」
アルテミスは機嫌が悪い。
「儂の衛星のカロンだ」
「ちょっとアルテミスに似てましたね」
「ちょ、あそこまで不愛想じゃないぞ( `▢’ ) 」
「下に四人も妹弟がいるんでな」
「まあ、大変なんですねぇ」
「まあな……」
おお、プルートじゃねえか!
坂道を上がって行くと谷の上から、ちょっとバカにしたような声が降ってきた。
見上げると先行のパーティーたちが、バカにしたような顔で見下ろしている。
三人と四人のパーティーに、もう一つはメンバーは前衛とメイジが二人もいて充実している。どうやら、アルテミス達の戦いを高みの見物と決め込んでいたようだ。
メイジの一人が――ごめんなさい――というような顔をしているが、残りはどうでもいいような、あるいは、ハッキリとバカにしている。
「ヒヨッコ二人連れて、修学旅行の引率かあ?」
腹の突き出たアーチャーが皮肉を言うと、前衛の一人が身を乗り出してトドメとばかりに悪態をつく。
「大変だよなあ、惑星のライセンス取り上げられちまっ……」
シャリーーン!
鞘走りの音がしたかと思うと、瞬間移動をしたかのように、プルートは前衛の首筋にソードを擬している。
「めったなことを言うな……儂は今でも太陽系の第九惑星だ!」
「あ……あ……そ、そうだったな(;゚Д゚)」
「そこのメイジ、すぐに回復魔法をかけてやれ。このソードを離した途端、こいつの首から致死量の血が噴き出すからな」
「は、はい……わ、我、神の御名において、曙の力もて汝の命を繋がんとす……」
詠唱の最後の言葉が終わると同時にプルートはソードを引き離し、前衛の首からスイッチ入れたての小便小僧ほどの血が放物線を描き、その先が地面に落ちると同時に停まった。
「少し詠唱の力が弱い、精進するんだな」
「は、はい……」
「行くぞ」
三人は曙の谷を後にして北に向かった。
☆彡 主な登場人物とあれこれ
アルテミス アーチャー 月の女神
ベロナ メイジ 火星の女神 生徒会長
プルート ソードマン 冥王星のスピリット カロンなど五つの衛星がある
カグヤ アルテミスの姉
マルス ベロナの兄 軍神 農耕神
アマテラス 理事長
宮沢賢治 昴学院校長
ジョバンニ 教頭
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