第11話 ガードはソードマンのプルート

馬鹿に付ける薬 《気まぐれアルテミスとのんびりベロナの異世界修業》


011:ガードはソードマンのプルート 




 

 町の北門を三人が出ていく。


 ソードマン(剣士) アーチャー(弓士) メイジ(魔法使い)のナリをした三人なので最低要件を満たした冒険者一行には違いない。


 ソードマンが先頭なのだが、アーチャーのアルテミスもメイジのベロナも、この小柄なソードマンが何者なのかよく分かっていない。


 ジョバンニ教頭が「学校の方から依頼したガードが待っている」と言っていたので間違いはない。しかし「話はあとだ、さっさと手続きを済ませろ」とソードマンが言うので、あっという間に用件を済ませ、取りあえず町を出ていくところだ。



「では、話だ」



 ソードマンが道祖神の前で立ち止まった。


「おう」


 自分よりも小柄なソードマンに素直に返事してしまうアルテミス。ベロナは品よく頷いた。


「ガードのプルート、冥王星のスピリットだ。お前たちが目的を果たして学校に戻るまで付き合う。身分的にはお前たちの方が上だが、冒険に関しては俺の方が遥かに上だ。冒険が終わるまで、このプルートの指示に従ってもらう。いいな」


「はい」「お、おう」


「インタフェイスを開け」


「はい」「おう」


「所持金とアイテムの半分を預かる」


「「え?」」


 ジャキーーン


 反論する間もなく現金とアイテムの半分がインタフェイスから消えていった。


「金とアイテムが欲しければ稼げ。常に稼ぎの半分は俺が管理する。食事、宿泊、アイテムの出し入れは俺がやる」


「あ、オレだって……」


「アルテミス、お前の『オレ』は禁止だ」


「え、なんでだ!?」


「おまえ、一応はかぐやの妹で女なんだろ。女がオレとかボクとか言うもんじゃない」


「オレだって神さまなんだぞぉ……なに見てんだ!」


「……胸を張るな、ほとんど痕跡器官にしか見えんぞ」


「な、なんだとヽ(`Д´)ノ !」


 アハハハ


「わ、笑うな!」


「アルテミスだって、時どきは『あたし』って言ってますよ」


「TPOで使い分けてんだ、こんなオッサンに言われる筋合いはねえ!」


「それから、ベロナ」


「はい」


「最初に行っておく。地球と同じ公転軌道を周ろうなどと思うな」


「え、なぜですか( ゜Д゜)!?」


「惑星というのは、自分の軌道を守ってこその惑星だ」


「でも、それは!」


「いま分からんでもいい。大事なことだから最初に言っておいた。もう、当分は言わん。では、行くぞ。夜までには曙の谷で用事を済ませて、正式に出発するからな……返事!」


「「ハ、ハイ」」


「では、駆け足!」


「「え?」」


 いきなり駆けだしたプルートを追いかけるベロナとアルテミス。


 最低限で妙なパーティーに行きかう冒険者たちが笑っていく。


 異世界を照らす太陽は、そろそろ南中しようとしていた。




☆彡 主な登場人物とあれこれ


アルテミス          アーチャー 月の女神

ベロナ            メイジ 火星の女神 生徒会長

プルート           ソードマン 冥王星のスピリット

カグヤ            アルテミスの姉

マルス            ベロナの兄 軍神 農耕神

アマテラス          理事長

宮沢賢治           昴学院校長

ジョバンニ          教頭


 

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