【#38】成れの果て

Eランク冒険者……Lv.1~99の小型モンスター討伐、アイテム採取などが主な依頼。


Dランク冒険者……Lv.1~99のボスモンスター討伐、アイテム採取などが主な依頼。


Cランク冒険者……Lv.100~199のモンスター討伐、アイテム採取などが主な依頼。


Bランク冒険者……Lv.200~499のモンスター討伐、中品質のアイテム採取などが主な依頼。


Aランク冒険者……Lv.500~999のモンスター討伐、高品質のアイテム採取などが主な依頼。


Sランク冒険者……Lv.1000以上のモンスター討伐、超高品質のアイテム採取などが主な依頼。



「グゥゥゥゥゥ」


 唸るような声、動物サイズで、蛇の顔と尾に豹の胴体、四本の鹿の足を持つ合成獣キメラ


『"悲劇の結末"ウナルケモノ Lv.880』


 ……現在、森の中の開けた場所でそんなボスモンスターとの対峙を果たしているわけだが、ランスロットめ……。


 なにが「Cランク冒険者の依頼を用意しておいた」だよ。


 明らかに、Aランクの依頼じゃねーか。


 ランスロットあの人の基準がおかしいのか、ただのスパルタなのか。


 まあ、正直ランスロットにお礼を言いたいくらいには楽しみにしている自分がいるんだがな。


「グラン、先に行かせてもらうぞ」


「おっけ!」


 腰を落とし、左手で押さえた鞘から刀を引き抜く。


『抜刀"火縄"』


 その威力は火縄銃の如し、ウナルケモノを撃ち抜きながら、一瞬にして背後につく。


 体ごと振り返ると、頭上にある体力ゲージは三割ほど減少していた。


 あまり体力が多くないモンスターなのか、Lv.880にしては、手応えがなさすぎるような……。


 これなら、祠主の方が強かったが、油断はできない。


 今のうちに削られるだけ削っておこう。


 刀を両手で持ち上げるように切っ先を前へと構え放つスキル。


『刺突"火縄"』


 『抜刀一列目"火縄"』と交替し、次に二列目の鉄砲隊が目の前の獣を撃ち抜く。


 背後を貫き、緑色だったバーは黄色へと変わり、一気に残り体力ゲージ四割まで減少した。


 次で決めるが、本当にこれで終わりなのか?


 合成獣は振り返り、ついに動き出し、牙を鳴らし突進してくる。

 しかし、それだけだった。


 まあ、いい。終わるならそれでいいんだ。


 刀を右上に構え、振り下ろすと、弾丸のような斬撃が放たれる。


『飛刃"火縄"』


 『刺突二列目"火縄"』と交替し、三列目が突進する獣を撃ち抜かんとする。


「レット! 駄目だ!!」


 前方で声を荒げるのは金鎧の男、しかし、既に弾丸は止まることを知らない。


 グランは地面を蹴り、急いで止めにこようとするが、間に合わな――。


「うおおお!」


『固有アビリティ【挑発】+称号【モットオレヲミテ】』


 金鎧が輝き出すと、弾丸は意志を持ったように獣を避け、高くジャンプしたグランへと矛先が変わる。


 対象へのルートが変化し、一度速度を落とした斬撃を躱すことはグランにとって容易い。


 勢いで倒してしまいそうだったが、グランに止められてから思い出したことがある。


 それは、『"悲劇の結末"ウナルケモノ』の第二形態は、恐らく、死をトリガーに変貌するタイプだ。


 その場合、何が起こるのか。

 GHO前作では、レベルが上昇していたな。


 一度、グランと相談した方がいいだろう。



「なっ!?」


 この声、もしかして、グランが斬撃を受けてしまったのか!?


 眼前のウナルケモノを避けつつ、視線を上に向ける。


 ……どういうことだ、何であんたがここに!?


「いけませんね。 あなた達には目立っていただかないと」


 グランを押しのけ、携えていた剣を抜き、斬撃を弾き返そうとする水色鎧の男。


 軽く弾き返された斬撃は、俺の横を通り過ぎていった獣へと矛先を戻した。


「させるか!」


「邪魔をしないでください」


 水色鎧の男は空を蹴り、一瞬にして十メートル以上はあろう距離を詰め寄る。


「俺はただウナルケモノあいつを討伐してほしかっただけなんですが」


 ギリギリ目で追えたが、刀を完全に構える間もなく、金属同士は火花を散らし交わる。


「ランスロットォォォォォ!!」


 何故こんな依頼を、そもそも、本当に依頼なんてあったのだろうか。


レットには、俺を倒す力はまだありませんよ」


「ああ、ならな」


 視線の端から近づく影は、ランスロットの背を捉える。


「これでは、少し分が悪いかもしれませんね」


 交わっていた剣は力を増し、刀は為す術なく弾かれる。


 次の瞬間、水色鎧の騎士は時計回りに回転し、背後にいた金鎧の腹を蹴り飛ばす。


「では、後は頑張ってくださいね」


「待て!!」


 ……ランスロットはその場から走り去り、その場に残ったのは、俺とグラン、そして――。



 背後に立っていたのは、死の淵から帰還し、森の背丈よりも巨大化したどす黒いオーラを纏う獣。


『"成れの果て"ウナルケモノ Lv.1760』


 まさか、レベルが倍になるとはな。



〇 え?どゆこと??

〇 ラン様??

〇 は、え、敵なの?

〇 感情追いつかない

〇 ランスロットがレットとグランを……??

〇 どうなっちゃうの!?

〇 なんか凄いのいるし

〇 でっか

〇 "成れの果て"意味ありそう

〇 レベルたっか

〇 見逃せないよこれ

〇 展開気になる

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る