第31話 驚きのサプライズ

ライブが始まった瞬間、会場全体は歓声と興奮に包まれた。ハルヒを中心に、メンバーたちは力強く演奏を始め、照明がステージを華やかに照らし出す。凛が手配した新しい照明演出は、まるで魔法のようにステージ全体を鮮やかに彩り、観客たちを魅了していった。


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ステージの端でキョンは観客席を見回していた。紙吹雪が絶妙なタイミングで舞い降り、ステージと観客が一体化する瞬間を見届ける。凛の提案で用意されたカラフルな紙吹雪が、まるで虹のように輝き、観客たちの声援がさらに大きくなった。


「さすが凛だな…まるで最初からこの演出を計画してたみたいだ。」

キョンは感心しつつ、ハルヒのエネルギーに引っ張られるようにステージを支えていた。


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ハルヒはステージ上で自由奔放に歌い、観客を煽りながら、いつも以上に楽しんでいる様子だった。そして、セットリストの終盤に差し掛かると、ハルヒがふとマイクを握り締め、にやりと笑みを浮かべた。


「みんな、今日はスペシャルなサプライズがあるのよ!」

彼女の声が響き渡ると、会場は一気に静まり返り、観客全員が何が起こるのかに興味津々だ。


「凛!お願い!」

ハルヒがステージ後方に向かって叫ぶと、凛が後ろから大きなリモコンを持って登場した。会場が一斉にどよめく中、凛はそのリモコンを軽く押した。


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その瞬間、天井から一斉に大量の星型の風船が観客の上にゆっくりと降り始めた。風船はステージの演出に合わせて光り輝き、まるで星空の中にいるかのような幻想的な雰囲気を作り出した。


「すごい…」

キョンは思わず呟いた。風船が会場全体を包み込み、観客たちが興奮して手を伸ばし、星のような風船を受け取っている。その様子を見て、ハルヒは満足そうに頷いた。


「どう?これが私たちのサプライズよ!次のステージも、この調子で盛り上げるから、期待しててね!」

ハルヒがそう叫ぶと、観客からは歓声が沸き起こり、会場のボルテージは最高潮に達した。


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キョンはステージの袖で、凛の方を振り返った。


「やっぱりお前がいれば何でも上手くいくんだな。凄い演出だったよ。」

彼は感謝の気持ちを込めて言った。凛は少し照れたように笑みを浮かべ、肩をすくめた。


「ありがとうございます。でも、これはハルヒさんの情熱があったからこそできたことです。私はそのサポートをしているだけですから。」

凛の謙虚な言葉に、キョンは改めて彼女の凄さを実感した。


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ライブが無事に終了し、観客たちが名残惜しそうに会場を後にしていく中、ハルヒはステージ中央に立ち、最後の一言を叫んだ。


「これからも私たちは止まらないわ!次のステージも、さらに大きなサプライズを用意してるから、楽しみにしてなさい!」

彼女の言葉に会場中が熱狂的な歓声を上げ、メンバーたちは次の挑戦に向けてさらに士気を高めていった。


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バスに戻ると、メンバー全員が達成感に満ちた表情で座席に沈み込んだ。


「やれやれ、今日も無事に終わったな。」

キョンが深く息を吐きながら呟くと、隣に座っていた朝比奈さんが微笑みながら彼に話しかけた。


「本当に素晴らしいライブでしたね。私も少しでもお手伝いできて嬉しかったです。」

彼女の柔らかな笑顔に、キョンも自然と頬が緩んだ。


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その時、ハルヒが再びバスの前方で立ち上がり、全員に向かって叫んだ。


「さあ、次のライブに向けてすぐに動くわよ!もっと派手で、もっとすごいものを見せるために準備するんだから!」

全員が一斉にハルヒの方を見つめ、苦笑しながらも次の挑戦に向けて動き出す準備を始めた。


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「やっぱり俺たちは止まらないな。」

キョンは窓の外に広がる夜空を見ながら、心の中でそう呟いた。そして、再び次のステージに向けて、バスは動き出した。

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