第3話 農業と自給自足の始まり

異世界での生活が始まって数日が経った。俺たちはそれぞれの役割をこなしながら、少しずつ新しい環境に慣れてきた。今日は、いよいよ本格的に農業を始める日だ。


「よし、みんな!今日は畑を整えて、種を植えるわよ!」ハルヒは朝から張り切っていた。彼女のエネルギーには本当に感心する。


「まずは、この『クルマ』の種を植えよう。村の人が教えてくれた通りにやれば、うまくいくはずだ。」俺は昨日教わったことを思い出しながら、種を取り出した。


「私も手伝うわ、キョン!」朝比奈さんがにこやかに言いながら、隣にやって来た。


「ありがとう、朝比奈さん。じゃあ、一緒にやろう。」俺は彼女と一緒に畑に入った。


土は柔らかくて耕しやすかった。村の農家の人々が貸してくれた道具を使い、俺たちは一列に並んで土を掘り起こし、種を植えていった。


「これでいいのかしら?」朝比奈さんは小さな手で丁寧に種を植えている。


「ああ、それで大丈夫だと思う。」俺は彼女の仕事ぶりに目を細めた。異世界での新しい生活にも少しずつ慣れてきたようだ。


「長門、あの種はどうやって植えるの?」ハルヒは長門に質問していた。長門は静かに説明し、ハルヒはそれを真剣に聞いている。


「これは魔法植物です。特定の魔力を持つ土地でしか育ちませんが、この場所は適しているようです。」長門はそう言いながら、独特の種を手に取った。


「なるほど、これも植えてみよう!」ハルヒは興奮気味に種を植え始めた。


一方、古泉は畑の周りを見回しながら、警戒していた。「この辺りは安全そうですが、万が一のこともありますから、注意が必要ですね。」


「そうだな。ここは異世界だ。何が起こるかわからない。」俺も同意した。


作業が終わる頃には、畑はしっかりと整えられ、種が均等に植えられていた。みんな汗をかきながらも、達成感に満ちた表情を浮かべている。


「これでしばらくは食料には困らないわね。」ハルヒは満足そうに言った。


「後は水やりだな。」俺はジョウロを手に取り、水を撒き始めた。朝比奈さんも手伝ってくれて、二人で協力しながら作業を進めた。


夕方になると、畑は一日の作業を終えた俺たちを静かに見守っていた。日が沈むと、村全体が柔らかなオレンジ色に染まり、静かな時間が流れ始めた。


「今日はよく働いたな。」俺は深呼吸して、空を見上げた。星が一つ一つ輝き始めている。


「うん、これから毎日世話をして、収穫の時を楽しみにしましょう!」ハルヒは満面の笑みを浮かべている。


「収穫の時が待ち遠しいですね。」古泉も微笑んだ。


「そうですね。私も楽しみです。」朝比奈さんは嬉しそうに笑った。


長門は静かに頷きながら、ノートに何かを書き込んでいる。彼女の冷静さは、いつも俺たちに安心感を与えてくれる。


「さあ、みんな。夕食にしましょう。」ハルヒの一声で、俺たちは宿に戻ることにした。異世界でのスローライフはまだ始まったばかりだが、少しずつそのリズムに慣れてきた。


これからどんな日々が待っているのかはわからない。しかし、今日のようにみんなで力を合わせて乗り越えていけば、きっとどんな困難も乗り越えられるはずだ。


「よし、明日も頑張ろう!」ハルヒの掛け声に応え、俺たちは新しい生活に胸を膨らませながら、夜空の下で微笑み合った。

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