風の皇子


風の民は


どの乱世においても、


永遠に中立であった。


何人も彼らを掴めず、


彼等もまた、何人をも掴めなかった。


彼等を得ようと欲する者は


後を経たなかったが、


そのような者はすべて


彼等を捉え損なった。


風の皇子は湖畔に佇み、


よく物思いに耽った。


寄る辺もなく目的もない


我々は一体何者なのだろうか、と。


季節は巡り、風向きが変わる。


彼等もまた、流浪の向きを変える。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る