風の皇子


風の民は


どの乱世においても、


永遠に中立であった。


何人も彼らを掴めず、


彼等もまた、何人をも掴めなかった。


彼等を得ようと欲する者は


後を経たなかったが、


そのような者はすべて


彼等を捉え損なった。


風の皇子は湖畔に佇み、


よく物思いに耽った。


寄る辺もなく目的もない


我々は一体何者なのだろうか、と。


季節は巡り、風向きが変わる。


彼等もまた、流浪の向きを変える。



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詩集4 / 古い断片 @PINEAPPLEPP

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