月の墓
―――月にお墓を建てるプランが発表されましたが、あなたなら建てますか?
「月に墓?ありえないね。人間、最期は土に還るもんだ。それが自然ってもんだろ。」
「月の墓。興味ありますね。ただ宇宙へ行けるのって選ばれた人だけじゃないですか。努力した人の特権というか‥‥‥。だから僕は遠慮します。僕なんかが行っちゃいけないと思っちゃうんです。あ、でも僕が今回演じた彼なら、必ず希望すると思います。」
「月のお墓ですか?嫌ですよ。だって、誰もお墓参りに来れないのよ?寂しいじゃない。」
「ああ、今話題の。そうですね‥‥‥。月に建ててほしい、かな。人生の半分を過ごした場所ですから。もはや故郷ですよね。」
「地球ですね。ずっと月にいたでしょ?最期くらい家族と一緒にいたいです。」
「もちろん、月です。月に行くことは叶わなかったけど、管制室の画面越しに見続けたあの大地に、死後くらい立ってみたっていいじゃないですか。家族には呆れられると思いますけど。それに月を見上げれば墓参りになるって、ロマンチックでしょう?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます