20. 漢字とひらがなはバランスよく
文章の読みやすさを突き詰めていくと、言葉選びと同等以上に、見た目の
漢字ばかり、仮名ばかりが続く文章はスムーズに読み取るのが難しく、読解の
伝えるべき内容を、読者にストレスなく受け取ってもらうための工夫は欠かせません。
◆漢字ラッシュの圧を
漢字のむやみな多用は避けるべきですが、どうしても連続してしまう場合の対処法を見ていきます。
まずは基本となる例文から。
①早速今準備完了した。
隙間なく漢字が並んでいると、単語の切れ目が瞬時には分かりづらいです。そこで、読点を付けてみます。
②早速、今、準備完了した。
あるいは、助詞「が」を挿入してみましょう。
②'早速、今準備が完了した。
「今準備」を「今」と「準備」に分けたい。読点を使わずに。
③早速いま準備が完了した。
部分的にひらがなを用いることで、単語同士の切れ間が明確になりました。
ただし、この方法では作品全体で見た場合、「今」と「いま」の混在を招く可能性に留意しなければなりません。
私個人としては、
表記の統一を優先させるのであれば、語句の言い換えも視野に入れます。
④早くも今、準備が完了した。
「早速」→「早くも」に置換。こうなると「今」の不自然さが際立ちます。
⑤早くも準備が完了した。
といった感じに推敲してみました。これならば、引っかからずに読めますよね。
◆ひらがなラッシュのたるみを引き締める
ひらがなはよみやすいよ! それにしたってげんどがあるよ!
まずはれいぶんからだよ!
①それにしてもこのところののぞみときたらとてもいたたまれないというほかない。
あくまで例ということで、悪文です。なお「のぞみ」は人名なので表記を変えるわけにはいきません。
②それにしても、このところののぞみときたら、とてもいたたまれないというほかない。
読点で区切るのは手軽な改善法です。漢字に置き換えてみましょう。
③
やりすぎた例です。少なくとも「それ」「この」「とても」「ない」あたりは、ひらがな表記のほうが無難でしょう。
悪文をまさぐるのはこれくらいにして、表現を最適化します。
④それにしても、最近ののぞみの様子は、いたたまれないにも程がある。
原文にこだわるよりは、無駄な語句を省いたり、言い換えるのがスマートなやり方かもしれません。
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