2. 作品の主題を見失わないために

 以下は真野の独り言です。あくまで自分に言い聞かせています。断じて他作品を批判するものではございません。




◆ファンタジーに凝りすぎた設定は不要


 「はるか北にある常夏の島」「時は晩秋15月」こういった常識にそぐわない記述は、出くわす度に混乱すると思います。


 1日は24時間だし、北半球なら7月は真夏です。雪国は南方ではなく北方にありますし、和風の国は東洋の島国とかでいいんです。作中での感覚は現実に寄せた方が、直観的に理解しやすくなります。


 必要以上に凝った世界観は説明の手間も増えますし、読者にも余計に頭を使わせてしまい不親切です。恋愛や人間ドラマを主体にするのなら、それらに関わりのない要素は複雑にするのを避けるべきです。




◆方角や左右は明確でなくていい


 本筋に影響しないのであれば、東西南北は必ずしも明記しなくていいです。いちいち頭の中で地図や位置関係を意識させたのでは、読者が疲れてしまいます。

 方角を明言しないと会話などが不自然になる場合以外は、「隣の町」とか「向こうの山」とかざっくりとした書き方で充分です。


 左右についても同様です。特に複数の人物が入り乱れるアクションシーンでは、曖昧にしておく方が無難です。

 左右を指定せずとも「片手で剣を構え」「側面に回り込む」「すぐ横に並んで」と書かれるだけで、脳が勝手に想像してくれます。


 そもそも、左右や東西がはっきりしたところで、駄作が名作に生まれ変わることはありません。




◆リアリティの用法用量は守りましょう


 リアリティの濃い描写やペダンティック(衒学げんがく趣味)な説明は、あくまで読者の興味を引き、没入を促すフレーバーとして用いるべきです。それ自体が主題になってしまっては本末転倒です。


 たとえ作者にその気がなくとも「現実を知っている私すごい」「専門知識のある俺すごい」が鼻につくと読者は冷めます。


 特にリアリティというのは曲者くせものです。読者を楽しませる目的を忘れ、自己満足に陥っていないかは、常に気を配る必要があります。


 確かに、初恋は大抵実らないし、美人は交際経験が豊富ですし、長い物には巻かれておくのが堅実な生き方でしょう。

 そんな当たり前のことが描かれた物語を、はたして読者は面白いと感じるかどうか。


 知っていますか? 現実ではあり得ないことでも、創作では可能になるんです。




 無論、これらもエンタメのはんちゅうでのみという条件付きです。文芸作品や純文学であれば、現実感や専門性はむしろ味となります。



 以上、真野ができているかできていないかにかかわらず、少なくとも意識して書いているマイルールでした。

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