一日一回カけてもらわないとダメな人魚の私が、あなたと海水浴してフラれました。

夢沢となR19

第1話

 


私はマーメイドのマメ。

ある日、海を泳いでいたら入り江に近づいちゃって、人間に釣りあげられた。



ざっぱああぁん! 



急にほっぺを無理やりひっぱられて、痛すぎて、自分から海面へ飛びあがった。


「うおっ!?」


キラキラキラキラ……


海水の尾をひいて大ジャンプした私を、

三人の男性が見あげている。

一人がうおっ、と立ち上がり、

もう一人は釣り竿を持っていて、

あともう一人はメガネ……私は海に落ちた。


「人魚だ! 釣り上げろ!」

「いや人魚は食いたくない」


私は海に鼻までつかって、彼らを見た。

木の簡易ボートに乗っている、私と同い年くらいの人間のひとたち。友達同士みたい。

「世界一周」って旗を掲げてる。


「おい人魚、こっちへ来い!」


声の大きい人に手招きされて、

私は腰をうねらせてボートへと泳いだ。


「ほーう。浅葱色の髪、桃色の瞳、美しい顔はまるで暁の海辺のように見とれるものではあるが、……貧乳だな! 人魚ってもっとこう……こうじゃないの?」

と胸の前で手の指を広げてみせる。


私はうつむいた。小さくふくらんだおっぱいを小さい貝で隠している自分が恥ずかしくなった。


「食う身がなさそうだ」

釣り竿の人が言った。


この人が私の口に針を引っかけたのだ。痛みで涙がでてる。だけど全身ずぶぬれだから、彼らは私が泣いているのに気がつかないみたいだ。


と、メガネの男の人が動いた。


「針を外してあげた方がいいんじゃない?」

「オレはやだよ! グロいって!」

「エサもつけてないのになんでひっかかったんだ」


涙目の私はメガネの彼の方へ寄っていった。


「……いったそうだなぁ……」


いっしょうけんめいな目をして、

針を外してくれる彼の顔を私は口をあけながら見ていた。


この人、私を助けようとしてくれてるんだ……。やさしいな。


 

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