第25話 パーティー1
「みんな、次の週末にアネーリオのパーティに行かないか?」
夕食時、話を切り出したのはエドアルドだ。
「パーティーですか?」
マリクが聞き返す。
「ああ、フロリアーノが主催するものだ。骨董品のオークションをやるらしい。あいつもミシェルとマリクに会いたがっているし、どうだろうか」
あ、結局骨董品は売ることにしたのね。
メリッサは泣く泣く売ることに決めたフロリアーノを想像する。
「行きたいです。骨董品どんなのがあるかなぁ」
ミシェルが言い、マリクも続く。
「僕も行きます。アネーリオさんに会うの久々ですね」
メリッサも行きたいと言いたい。しかし……
エドアルドの隣に立てるように、マナーを習ってはいるけど不安なんだよなぁ。
「メリッサはどうだ? あまり気取ったパーティーではないから、気楽に参加できると思うが」
優しいほほ笑みを浮かべながらエドアルドはメリッサに聞いた。
カテリーナもいるし……慣れるにはちょうどいいかも?
「私も行きますわ」
☆
メリッサ一行は、フロリアーノの屋敷に到着した。
「エド! 久しぶりだな!」
「ああ、元気そうで何よりだ」
フロリアーノが出向かえた。
エドアルドとフロリアーノは魔法学園で出会ってからの仲だ。フロリアーノは色白で細身の体型、薄い茶髪で癖のある髪を三つ編みにしている。短い眉が上がり、にこにこと笑っていた。
「メリッサ、カテリーナがお世話になっているね。マリク、ミシェルも久しぶりだね。大きくなったなぁ」
マリクとミシェルも挨拶をした。
「フロリアーノさん、オークションはどの会場ですか?」
「おや、ミシェルはオークションに興味があるのかい? あぁ、美術が好きだったね。作品見たよ。とても素晴らしかった!」
「ありがとうございます」
陽気にミシェルと会話をする。そのまま美術の話へ移っていった。
メリッサはふとマリクを見ると険しい顔をしていた。
「どうしたの? 体調悪い?」
マリクははっとした顔をして「いえ、大丈夫です。なんでだろ?」マリクも険しい顔をしていたことに
気づいていないようだった。
「本当に? 何かあったら言ってね」
「うん」
マリクは会場へ向かっていっそ。
「ミシェル、私のコレクションについても意見を聞きたいな。エドアルド、メリッサ、私はミシェルを案内してくるよ。さ、いこう」
「はい!」
二人は歩いて行った。
メリッサも会場へ向かう。
パーティーは立食形式で。様々な料理が並んでいる。
肉汁あふれるステーキ、ふっくらと蒸された魚。魚にはいい香りのするソースがかかっている。デザートもあり、カラフルなケーキも用意されていた。
さて、どれを食べようかしら……!
全部食べたいけれど、公共の場だ。振舞いはよく考えなければならない。
「メリッサ! 来てくれてありがとう」
「メリッサ、お久しぶりです」
「あら、あなたがメリッサね。初めまして」
カテリーナに友人、初めて見る人物もいる。
緊張してきたわ……
☆
エドアルドはバルコニーでグラスを傾けていた。
メリッサは他の令嬢達と楽しそうに会話と料理を楽しんでいるようだった。
「わぁ。エド、そんな優しい顔出来たのかい?」
「何だ、フロリアーノ。ミシェルはどうした」
「オークションまで時間があるから、立食会場に行ったよ」
「そうか」
フロリアーノが隣にくる。
「いやぁ、ミシェルは美術の知識が豊富だ。考え方も見る目もいい。マリクは学園で生徒会に所属しているそうじゃないか。二人とも立派になったなぁ。あんな小さかったのに」
フロリアーノは腰より下に掌を向けた。
「ああ。二人とも俺たちの自慢の息子だよ」
フロリアーノが固まった。
「なんだそのまぬけな顔は」
「いや、お前からそんな言葉を聞くとは」
フロリアーノの脇腹を肘で小突づいた。
「ははは。にしても、メリッサさんにそっくりだ」
「俺に似ても困るだろ。こんな目つきじゃ。怖がられて話しかけてもらえなかったんだぞ」
エドアルドは学園にいた頃、近寄りがたいと避けられがちだった。怒っていないのに勘違いされることも多く、突っかかられることもあった。
フロリアーノはそんなこと気にせず話しかけてきた。彼の陽気さに他の人もやってきて、エドアルドの交友関係は広がった。
「舐められるよりはいいと思うがね」
逆にフロリアーノは今より痩せていて「軟弱だ」と絡まれ、良い思いをしていなかった。
実際はエドアルドと互角で全然弱くなかったのだが。
そんな二人は突っかかってくる奴らに二人で実力を見せつけてきた。
「ないものねだりだな」
「そうだな、ははは」
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