白銀に踊る

tamn

とある神話より

目覚めたアルカポルスは、まず最初に氷に閉ざされた大地に命を与えるため、僅かながらに暖かな春を呼び出した。

覆っていた氷はみるみるうちに溶け、眠っていた花々が一斉に芽吹き、凍土であったはずの大地に命が溢れだした。

温かな雨が緑を潤し、柔らかな風と陽だまりに誘われた鳥たちが歌い踊る。

それを見たアルカポルスは次に、溢れた命、そして我ら人に多くを与えたもうた。

そして同時に多くの罪と禍をも与えたもうた。

正しき行いをすれば、幸福が訪れるように。

悪しき行いをすれば、不幸が訪れるように。


母なるアルカポルスは天の神。

常に天より我らが人を見守り続ける。


アルカポルスには四人の愛娘達がいる。

一の愛娘、リディアータ。審判たる天秤。娘は生命の真実は解く。

二の愛娘、メルヴェアータ。生命の慈雨。娘は生命を芽吹かせる。

三の愛娘、ラウディアータ。煌めく星々。娘は生命の行く末を照らす。

四の愛娘、ユフィアータ。揺り籠の凍土。娘は生命を穏やかな夢に誘う。


愛娘達もまた、見守り続ける。

母なる天のアルカポルスは言う。

美しきを、醜きを、愚かさを、儚さを、全てを知るのだと。


我らが神は天におわす。

愛娘達はそばにいる。

であるからこそ、我らは決して違えてはならぬのだ。


全てはアルカポルスが為。

全ては愛娘達が為。

我らはいるのだから。

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