丸太使いは無双する

@wata098765

第1話 スキル覚醒と放逐

澄み切った青空の下、広大な庭園を散策していた。風に揺れる花々の香りが心地よく、アレクは深呼吸をする。もうすぐ10歳。今日、アレクは神からスキルを授かるのだ。緊張と期待が入り混じる中、アレクは静かにその瞬間を待っていた。

神殿の中心で、神官が厳かに告げる。「アレク・エスタール。神は汝に、新たな力を授けようとしています。心を開き、神の言葉を聞きなさい。」

神殿全体が神々しい光に包まれ、アレクの体中に力がみなぎっていく。そして、神の声が響き渡った。「汝に与えられた力は、丸太使い。この世で最もユニークな力だ。この力を如何に使うかは、汝次第である。」

しかし、その言葉に続く神官の表情は硬かった。「だが、この力は未だ世に知られていない。そのため、外れスキルと判断せざるを得ない。公爵家の名誉のため、汝は辺境の森へと追放されることになる。」

アレクは理解に苦しんだ。神から授かった力なのに、なぜこんな仕打ちを受けるのか。それでも、アレクは神官の命令に従い、辺境の森へと向かうしかなかった。

辺境の森は、人跡未踏の広大な場所で、様々な動植物が生息していた。アレクは、持ち合わせた食料と水を頼りに、森の中を彷徨った。

日が暮れ、寒さが身に沁みる中、アレクは倒れた巨木を見つける。疲れた体で巨木に寄りかかり、途方に暮れていた。その時、お腹がグーグー鳴り、空腹に耐えられなくなったアレクは、ダメ元で巨木の丸太を掴んでみた。

すると、驚くべきことに、アレクは軽々と丸太を持ち上げることができた。まるで、丸太が自分の体の一部になったかのように。アレクは反射的に丸太を振り回し、目の前の茂みをなぎ倒した。

そのとき、茂みから牙をむき出した狼が現れた。アレクは恐ろしいあまり、丸太を構えた。狼はアレクに向かって突進してきたが、アレクは素早く丸太を振り回し、狼を打ち倒した。

自分の力でモンスターを倒したという事実に、アレクは興奮を覚えた。神から与えられた「丸太使い」という力は、確かに外れスキルかもしれない。だが、この力があれば、この厳しい森でも生き抜いていけるかもしれない。

アレクは、辺境の森での新たな生活を始める決意を固めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る