第3話

 竜王峡の廃墟ラブホテルでのデスゲームが進行する中、参加者たちは様々な困難に直面していた。朝桐生大樹と他の参加者たちが、竜王峡の奥深くにある古びた建物に到達したとき、彼らの不安は頂点に達していた。建物の中は薄暗く、湿った空気が漂い、周囲の静寂は逆に恐怖を引き立てていた。


 突然、壁の奥から異様な音が響き始めた。それは低くうなるような音で、まるで生物が動き回っているかのようだった。大樹は周囲の参加者たちを集めて、声を張り上げた。「みんな、落ち着け。音の方向を確認しよう」


 音が次第に大きくなり、そして、建物の隅から見たこともない奇怪な形の影が現れた。それは蛙のような大きな足を持ち、体は不規則な鱗に覆われていた。蛾のような羽が生えており、その動きはとても不気味だった。影の動きに合わせて、壁や床が振動している。


「これは…何だ?」大樹が呟いた。参加者たちは恐怖で体を硬直させ、目の前の怪物にただ立ち尽くすしかなかった。


 怪物は、大きな口から赤い液体を垂らしながらゆっくりと近づいてきた。大樹は冷静さを保ち、周囲を見渡しながら指示を出す。「武器を持ってる人は準備して。まずはその怪物の動きを止めることが優先だ!」


 突然、怪物が猛然と襲いかかってきた。参加者たちは驚きと恐怖に目を見開き、怪物の動きをどうにかしようと必死に戦った。しかし、怪物の力は想像以上に強く、体力に自信がある大樹でさえも苦しむ場面があった。


 その時、怪物が隙を見せた瞬間を捉えた大樹は、全力で攻撃を仕掛けた。彼の動きは正確で、怪物の急所を狙い撃ちする。だが、怪物もまたすぐに反撃し、戦いは熾烈を極めた。


「もう少しだ!みんな、協力して!」大樹の声が響き渡る中、他の参加者たちも協力して怪物の注意を引き、弱点を突くために全力を尽くした。ついには、怪物の体力が限界に達し、大樹たちはついに勝利を収めることができた。


 怪物が倒れると、その背後から奇妙な装置と文書が現れた。それはゲームの次のステージに関する手がかりを示していた。大樹はそれを手に取り、今後の計画を立てる準備を始めた。


 この恐怖の瞬間が、参加者たちに一層の緊張感と、ゲームの次なる試練への決意をもたらした。日が差し込む中、彼らの胃の調子は不安定で、緊張と恐怖が影響していた。疲れが溜まり、食事もろくに取れていないため、体調を崩す者もいた。


 一方、ゲームのルールが次第に明らかになっていく中で、参加者たちは「歯牙」や「蛾」、「蝦蟇」といった奇妙なヒントが記されたカードを手にするようになった。これらのヒントが示す意味を解明するために、彼らは頭を悩ませていた。


 **歯牙**: 参加者たちが手にしたカードには、「歯牙」に関連するヒントが含まれていた。これは、誰かが持っている特定の物品や特徴に関連していると考えられた。参加者たちは、「歯牙」が指し示す人物や物品を探し出そうとしていた。


 **蛾**: また、「蛾」というヒントが示されたカードもあった。これは、特定の部屋やエリアに関連している可能性があり、参加者たちは蛾の羽音が聞こえる場所を探し回っていた。


 **蝦蟇**: 「蝦蟇」というヒントも、参加者たちを混乱させていた。これは、特定の部屋やアイテム、または人々の中に潜む何かに関連しているとされていた。


 その間に、重要なアイテムである**ルームキー**が各参加者に配布された。ルームキーは、ホテル内の特定の部屋にアクセスするために必要なもので、カードに書かれたヒントと組み合わせることで、次のステップに進む手助けをするものだった。しかし、ルームキーの一部は偽物で、正しい鍵を持っていないと、参加者は部屋に入れないばかりか、罠にかけられる危険性もあった。


 **キーウ**: さらに、参加者たちは「キーウ」という名前が書かれた謎のヒントも受け取っていた。これは、特定の人物またはアイテムに関連している可能性があり、参加者たちはその正体を突き止めるために協力したり、競争したりしていた。


 参加者たちは、これらのヒントやアイテムを駆使しながら、生き残りをかけた戦いを繰り広げていた。ラブホテルの廃墟という閉塞的な空間の中で、彼らの戦いは続いていった。各自が持つ情報と知識を最大限に活用し、次第に明らかになる真実に迫ろうとしていた。


 ラブホテルの廃墟でのデスゲームが続く中、矢野は次第に追い詰められていった。彼は、他の参加者たちと協力しながらも、孤立感を深めていた。胃の調子が悪く、体力も限界に近い状態で、謎めいたルールとヒントに翻弄されていた。


 ある夜、矢野は「歯牙」と「蛾」のヒントを解明するために、特定の部屋に向かうことに決めた。その部屋には、以前から怪しい物音が聞こえており、何か重要な手がかりが隠されていると考えたからだ。


 部屋に入ると、薄暗い中で蝿のような音が響いていた。部屋の隅には古びた家具が並んでおり、その中の一つに光る何かが見えた。矢野が近づくと、それは古い本であることが分かった。彼は本を開こうとしたが、その瞬間、部屋のドアがバタンと閉まり、彼は閉じ込められてしまった。


 パニックに陥った矢野は、周囲を調べ始めた。しかし、部屋の中には隠されたトラップが仕掛けられており、すぐにそれが発動した。床が動き出し、急激に傾き始めたのだ。矢野はバランスを取ろうと必死になりながらも、部屋の中に仕掛けられた鋭い刃物に気づかず、次第に追い詰められていった。


 矢野は刃物に触れ、激しい痛みに襲われながらも、最後の力を振り絞って助けを呼ぶが、助けは来なかった。刃物による傷が致命傷となり、彼はその場で命を落とすこととなった。


 彼の死は、他の参加者たちに深い衝撃を与えた。ラブホテルの廃墟でのデスゲームはますます過酷になり、参加者たちはますます生き残りをかけて戦わなければならない状況に追い込まれた。

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