第31話 放課後のLINE
授業が終わり、下校時間。太郎はスマートフォンを握りしめていた。画面には、先ほど追加したばかりの美咲とのチャット画面が表示されている。
(どうしよう...何か送ろうかな)
太郎が迷っていると、突然メッセージが届いた。
美咲:「こんにちは。鳴海くん」
シンプルな一言に、太郎は思わず顔がほころぶ。
太郎:「こんにちは、さっきぶりだね」
美咲:「うん。ライン交換するのタイミング逃しちゃってやっと交換できたね」
太郎:「俺も思ってた。花子のおかげだね」
美咲:「そうだね。結城さんには感謝しないと」
二人のやりとりは、どこか照れくさそうでありながらも、嬉しさが滲み出ている。
太郎:「こうやってたまに連絡入れてもいい?」
送信ボタンを押した瞬間、少し強引すぎたかと太郎は公開をする。しかし、返信は意外にも早かった。
美咲:「うん。私からも連絡入れるね。」
太郎は心の中で小さくガッツポーズをする。LINEのおかげで、こんなにも簡単に話が出来るなんて。
二人のやりとりが続く中、突然新しい通知が入る。花子からのメッセージだ。
花子:「ねえねえ、二人とも!せっかくみんなLINE繋がったんだし、グループ作らない?」
太郎:「えっ、グループ?」
美咲:「そうだね、いいかも」
花子:「でしょ!じゃあ作っちゃうね~」
数分後、「2-3のトリオ」というグループが作成された。
花子:「そうだ!せっかくだから、このグループの記念に3人で写真撮ろうよ」
太郎:「え?写真?」
花子:「そうそう、太郎は東雲先輩たちと3人で撮ってたじゃん。私たちも撮ろうよ」
太郎:「まあそういうことなら」
花子:「はい決定!明日の昼休みに屋上でね」
太郎:「まあ...いいけど」
美咲:「うん、分かった。」
花子:「やった~!楽しみにしてるね。太郎、美咲、明日よろしく!」
3人での写真が決まったとき、三者三葉の喜びがあった。
美咲はLINEの画面から目を離すと、小さく深呼吸をする。写真を撮ると聞いて少し戸惑ったが、今は喜びが心を満たしている。太郎と花子との思い出の一枚。そして初めての太郎との写真。それは彼女にとってかけがえのない宝物になるであろう。
明日の昼休み、きっと素敵な思い出になると信じて明日を待ち遠しく思う。
花子はスマートフォンを胸に抱きしめながら、ベッドの上をくるくる回る。3人での写真の提案が通って花子の心は歓喜に満ちていた。太郎と美咲、大切な二人との記念撮影は最高の思い出になると信じていた。
明日の昼休み、きっと素敵な笑顔の3人が写真に収まるはず。そう思うと今から心が躍るのを感じた。
太郎はスマートフォンの画面を見つめながら、ガッツポーズと共に思わずにやけてしまう。3人での記念撮影は単なる写真以上の意味を持つように思えた。美咲と花子、大切な二人との思い出が形になる。そう思うと胸の中が熱くなった。
すこし恥ずかしさもあるが、それ以上に期待が膨らむ。二人との関係がより親密になる気がして明日の昼休みが待ち遠しくなった。
太郎のスマートフォンには、今までの花子との個人チャット、新しくできた美咲との個人チャットと3人のグループチャット、そして東雲とのチャット。それぞれの画面が、彼の心を映し出しているかのようだ。
太郎の心の中で、期待と不安が入り混じる。これから彼の青春は、どんな方向に進んでいくのだろうか。スマートフォンの画面に映る自分の顔を見つめながら、太郎は深いため息をついた。
明日はきっと、また新しい1ページが始まる。そう思いながら、太郎は目を閉じた。窓の外では、夜の帳が静かに降りていく。彼の青春物語は、まだまだ続いていく。
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