どこにでもいるような高校生男子がパラレルワールドの自分に殺されかけて覚醒して分身したりなんやかんや無双するお話
𠂤刕牡 梶海 猫部顧問
第1話兼最終話
どうもこんにちわ。俺の名前は
絶賛定期テストに苦しめられているどこにでもいるような半陰キャ半陽キャな男だ。
テストを解きながら軽く自己紹介でもしようかな。
改めて葉鳥 海貴です。好きなものはゲームにマンガ、あと動画制作。Wetubeっていう動画配信サイトで活動してるんだ。チャンネル登録者数はこの前なんと2万人を超えたんだ。ここまで来るのに3年かかったよ。速いだろ?なあ?
「え」
巳貴は先ほどまで脳内でしていた自己紹介を忘れるほどの衝撃が目の前に広がった。
確かに、先ほどまで巳貴は椅子に座り筆記用具を持ちテストを解いていたはずなのだ。なのに、今目の前には真っ白な空間が広がっていた。
「ごめんね。死んで」
どこか、いや全方位から聞こえたそんな女性のような声が聞こえた時には巳貴は元の教室に戻っており椅子に座って筆記用具を持っていた。
だが先ほどと決定的に違うものがあるのはいやでも気づいた。
体にまとわりつくように重力に従って巳貴の体を流れ落ちるモノがあった。
これは謎の現象に対する冷や汗なんかじゃない。これは、これは確かに血だ。
本来ならばこういう時はすぐに声を上げて保健室にでも行って止血するべきだろう。だが、巳貴にはそれができなかった。
「(いてぇ、いてぇ。くっ、だけどどんな
その瞬間。俺の体は廊下に吹き飛ばされていた。本来なら廊下に体が出るのを拒むはずの後ろ戸は壊れている。恐らく俺がぶつかって壊したのだろう。その奥に。あれは誰だ?少なくとも別の学校の生徒だな。うちの学校の制服じゃない。というかあれ制服のような私服じゃないか?
「改めて言うよ。私のために死んでくれない?」
その声には聞き覚えがあった。先ほど見た真っ白な空間で聞いた謎の声。
クラスメイト達や教師たちは慌ているように見える。ましてや隣のクラスの奴らも扉が壊れた音でこちらを覗いては俺の血にまみれた姿を視て何人かは逃げていく。
「初対面で殺害予告されるのとか初めてなんだけどな」
「そりゃあ初めてだろうね」
「自己紹介くらいしてくれないのか?」
「冥土の土産に?いいよ。私はね、葉鳥 巳貴だよ」
「……パラレルワールドから来たとかの冗談はやめてくれよ?」
「そのまさかだよ。私が来た理由は一つ。あなたを殺してあなたと入れ替わること」
「こんな騒動起こしてる時点で無理だろ」
「記憶はいくらでも改変できるんだよ」
異世界の俺が右手をこちらにかざす。その瞬間俺の体は再度後ろに吹き飛ばされて今度は窓ガラスを破って外、グラウンドに追い出される。
「3組でよかったって初めて思った」
「魔法をくらった感想がそれなの?」
「いや、まあいろいろ言いたいことはあるんだがよ。まず最初にさ、お前が異世界の俺だとしてもさ。美人すぎない?」
今俺の前で異世界の自分だと名乗っているか彼女はそれこそモデルにも勝るほどの美貌を持っていた。それに比べて俺の顔面偏差値は中の上から上の下の間だ。まあ端折って言えば平凡な顔。
「ふふ。君は面白いね。でも残念だけど殺すのは決まってるんだよね」
「なんでそんな奇麗で明らかに強そうなのに元の世界じゃなくて俺のいる世界に来たんだ?」
「時間稼ぎのつもりかな?まあいいか。そうだね、確かに私は強いよ。だからさ、みんなは私を利用しようと近づいてきたの。それに私は飽きちゃった。だから魔法も何もない世界に来て人生を楽しもうと思ったの」
「つまりさ、俺はあんたの享楽のために死ぬってことか?」
「ひどい言い方をするね。君はね、私の人生を救うんだよ」
「俺は他人のために死んでやれるほどやさしくないんだよ!」
せめて一矢報いたい。その一心で俺は真っ向から彼女に殴りかかった。
「愚かだね」
彼女はそう一言言うと俺に右手を向けてくる。その右手からは電気が出てきたのだろう。何がおきたかわからないまま俺の体は腹の部分から燃え始めた。
「ごめんね。これもこんなきれいな私を救うためだと思ってさ」
彼女の言った軽い謝罪は今の巳貴には届いていなかった。彼の脳内は「痛い」「苦しい」その二言で埋め尽くされて他の事を考える余地なんてない。はずだった。
「(痛い。苦しい。でも、なんで、なんで俺はこんなに理性的なんだ?今も体は燃えて下半身の感覚は途絶えてじわりじわりと上半身の感覚も鈍くなっているのに。ああ、謎の力に体が包まれている。……この力はなんだ?
まさか。魔法そのもの?これは魔法によってできたはずの火。じゃあこの謎の力を魔力だと仮定して……―)」
「やっと動かなくなった」
客観的に見た巳貴の行動はあまりにも奇行だった。燃えてすぐは体が燃えていることに苦しんでいた。のに途中から苦しむのをやめた。普通なら神経がいかれたのかと思うだろう。だが、彼はそのまま右手を口の前に置いて何かを考えるような姿勢になった。巳貴にとってこれはあまりにも異常な行動であった。だが、少しして動かなくなったため考えのをやめた。
「さて、まずはこの学校…いや、この炎を見られて通報されてても困るし日本全域でいいか」
巳貴が魔法で日本全域にいる巳貴に関する記憶を改変しようとした時だった。
「!?」「きゃぁぁ!」
校舎で巳貴たちを見ていた生徒たちから驚愕するような声が聞こえる。巳貴は咄嗟に後ろを振り向いた。ありえないと。脳内でわかっていた。だが、本能が彼女を振り向かせた。
「痛ぇ」
そこには黒焦げになった巳貴の姿はなく黒いコートを羽織った男が二人立っていた。
「誰?」
「「お前だよ。葉鳥 巳貴だ」」
「また別の世界の私?」
「「いや、お前がさっき殺したと思った俺だ。」」
「なんで生きて…いや、なんで二人になっているの?」
「じゃあ。モチーフ“凶暴”“無慈悲”。時間稼ぎ頼んだよ」
「ったく」
「え」
その瞬間だった。先ほど巳貴が見た少年のような走りなど無く一瞬で彼女の元にたどり着いた巳貴は拳を顔面に向けて放つ。が、ぎりぎりで謎の壁に阻まれて彼女の顔面に巳貴の拳は届かなかった。
「結界か?」
「
巳貴から先ほどまであった余裕の表情が剥がれ落ちる。目の前の男を確実に殺す。そういった目になった。
「さっきモチーフ“凶暴”“無慈悲”って言ってたけど。一体何のこと?」
「さっきお前の事は教えてもらったし今度はこっちが教えてやる。いいことを教えてやるよ。この世界にいる葉鳥 巳貴は疑似的な多重人格者なんだよ」
「疑似的?」
「自ら俺みたいないくつかのモチーフを人格にすることで平凡を装って生きてきたんだよ」
「なるほど。「みたいな」ってことはまだ何個かの人格があなたにはあるの?」
「俺にはない。あいつにはある。なんてったってあいつが主人格だからな」
巳貴はこれ以上人を増やさせないために後ろにいる主人格の巳貴に狙いを定める。
「そう。教えてくれてありがとう」
「そりゃどうも」
「代わりにおくりものよ。あなたの命で着払いだけど」
「勘弁な」
先ほど巳貴に放った雷の魔法を“凶暴”の巳貴に撃つ。今度は確実に殺すため一本ではなく20本一気に撃つ。
「一回見たんだよな。それ」
その言葉が後ろで聞こえて瞬間私は後ろに〔
〔
そして上空から〔篠突ク紅イ雨〕を発動。この魔法は一定範囲内に触れたら即死の雨を降らす魔法。これなら絶対に避けれない。この魔法のデメリットは人間にしか効かないところ。でも彼は人間だから殺せる。
「会話してくれてありがとう。おかげで練れたよ」
そんな言葉が聞こえた。私の横から。
本能的にさらに上昇した。私がさっきまでいた位置には彼の…剣があった。いったいどこから取り出したのだろうか。
だけど、2対1はまずい。はあ、これは次の日に筋肉痛になりやすいから好きじゃないんだけどな。
〔身体強化〕
私は一気に彼に近づいて肉弾戦に移るとする。すると彼は下に一気に急降下して行った。私もそれに合わせて急降下する。彼が地面に着く直後。私が地面に着く直前。彼は回し蹴りを私に向けてきた。胴に当たる位置。私は〔
「速くなったね。これじゃあ周りに見えないね。それは困るだろう?」
そう彼は言うと彼を中心にドームのようなものが出来上がる。校舎にいる生徒の方を見るとやけに動きが速く見えた。
「このドームの中は外から見ると100分の1の速さで見える効果がある」
「そんなことをして意味があるの?」
「これをYに投稿してくれる奴がいるかもしれないだろ?」
「バズりたいの?」
「ははは。まあ、そうかもね。そんなことよりさ、やろうか。〔纏装〕!」
「え」
巳貴はどこからか中二心をくすぐるような黒いオーラを纏った刀を取り出して刀にまたどこからか取り出したカードを重ねる。
すると巳貴の体が黒い何かに覆われた。
黒い何かが虚空に消えた時。巳貴の姿は変化していた。黒い髪はまるで炎のように常に揺れている。コートも口を覆うようになりなによりもしっぽが二本生えていた。
「妖焔見参」
「おいおい。かっこいいじゃねぇか。ついでに残りの疑似人格全員だそうぜ」
「出し惜しみは無しってか?」
「そうだな」
「じゃあ行くか」
すると巳貴…妖焔の周りに三つのゲートのようなものができる。そしてその中から人が出てくる。
「右から。モチーフ“慈悲”“狡猾”、“無関心”“女々しさ”、“失望”“野心”だ」
「僕まで出る必要はあるのかい?」
「元主人格なんだから頑張ろうぜ」
「はぁ。軽くしか手伝わないからね」
「一気に5対1だな。どうする?」
「ふふ。あははははははは」
「壊れた?」
「いや、まさか5人になるなんて思ってなかったからね。でもね、私はこの世界の私にしかあったことがないなんて一言も言ってないんだよ。だからね、たまにいるんだよ。強くてさ、私の事を好きになってくれた私とかが。まあ他にも強い人は何人か勧誘したけどね」
「まじかよ」
巳貴は後ろに10つのゲートを作った。その中からは人はもちろんだが人と一緒に謎のモンスターも出てきた。
「異世界…ファンタジーすぎるだろ。なんでドラゴン従えてるんだよ」
「これで形勢逆転だよ。あなた達も彼らみたいに私の味方にならない?」
「おう。笑顔で中指立てさせてもらうぜ。そのまま着払い式爆発魔法だ」
「断るのね。残念」
俺が放った爆発魔法は全て爆発の瞬間に爆発の範囲を〔
「お前の動体視力魔王かよ。爆発した瞬間つか爆発とほぼ同時のタイミングで覆いやがった」
「知らないのね。爆発する直前に魔力は先に爆発する位置にあるのよ?」
「ごめんちょっとかみ砕いて喋ってくれよ」
「ふっ。そうね。つまり魔法は魔力が発生させたい位置に先に出てくるの。それを感知することができれば防ぐのも容易いわ」
「まあ陽動だったからいいんだけどさ。優しいとかよく言われない?もしくは頼まれたら断れない性格だよねとか」
「よく言われたわよ!…陽動?!」
因みに今の妖焔にとって巳貴の後ろは興奮しているような奴もいて気持ち悪いとしか思っていない。逆にそう思っているからこそ速く消したいのだ。
「そうだよ!〔終末の黒い稲光〕!名前は変えたからセーフ!」
妖焔が刀を振るうと黒い雷を纏った斬撃がいくつも飛び出してくる。巳貴はそれを自分のみ防ぐが後ろの10人は各自避けようとするも2人と1匹が斬撃に当たり体にヒビが入りさらに燃えて死んだ。
「なによそれ」
「効果は当たった相手に対して雷傷と麻痺と炎上のトリプル付与。威力は斬撃なのでろっ骨が折れる程度だ」
「効果は違うけど見た目がやけに似たような技をどこかで見たことがある気がする」
「さて次行くぞ!〔落陽〕」
妖焔が刀を上に掲げた。すると頭上に直径1m程度の炎の玉ができる。それはどんどん大きくなった。
そして炎の玉ができて5秒もしないうちにその大きさは半径でも30mほどのものとなり小さな太陽となって巳貴の元に降ってくる。
「バカでしょ」
巳貴は呆気にとられつつすぐに回避行動をとる。瞬間移動だ。でも、移動してすぐだった。3人、3人の巳貴の側近が見えなかった。先ほどまで側近3人がいた位置を見るとそこには3人の死体と妖焔の疑似人格たちがいた。
「まあなんか瞬間移動しそうだなぁとは思ったけどドンピシャだね」
「というか元主人格さんは私みたいに女の子でいいんじゃないですか?優しいし」
「遠慮させてもらうよ。というかその呼び方やめてほしいな」
「じゃあなんて呼べばいいんですか?」
「じゃあ…」
「わかりました緑ですね」
「何も言ってないんだけど?!まあいいか」
確かモチーフが“無関心”“女々しさ”と“慈悲”“狡猾”のふたりだ。それにしても“無関心”“女々しさ”の方は何故女の子なのだろう。かわいい。私と張り合えるくらいにはかわいい。
「さて、残りのへんた…側近は5人だね。もう半分だよ」
「ふふ。別に10人しか私の仲間がいないなんて言ってないよ?私が舐めプで10人しか出さなかったとは考えなかったの?」
「これ側近全員倒せば本体にダメージ入るギミックボス戦だったっけ?」
巳貴の周りに今度は15個のゲートが出てきてその中からまた新たに人が出てくる。
「はい出オチ役お疲れ」
地上にいる“凶暴”“無慈悲”の彼がそう言うと彼は手を上にあげて下げた。すると出てきた全員が地面に一気に落とされる。
ほとんどはなんとか受け身を取ったが3人死んだ。
重力を操った?かなり高等魔法なのに魔法を知ってこんな短時間でできるもの?
「次だぞ。〔
今度は妖焔。私の周りに数えきれないほどの水球が浮かび上がった。
私は〔
「〔
今まさに巳貴の命を刈り取ろうとする水球から側近の一人が守った。その命を呈して。
「ありがとう!」
「姉さんのたっ…」
位置を入れ替わった側近の一人は水球によってその頭を貫かれて死んだ。
「教えてあげよう。俺の魔法〔
「回転エネルギー?」
「まあ知らんけど多分そう、その回転エネルギーにより貫通力は生まれる。じゃあさ、銃弾なんかよりももっと速く水球を回したらさ。クッソ強いんじゃねって思ったことがあるんだよね」
「なるほどね。今の魔法は回転させた水球を飛ばしてきただけをいいたいのね」
「本当に強い魔法は案外地味なんだよ」
「そうかしら〔
妖焔と疑似人格である4人全員の周りが爆発する。電気、光の速度で爆破したいところまでたどり着き爆破する魔法。対応もクソもない完全初見殺しの魔法。爆破エネルギーは圧縮されておりたった直径1m程度の範囲の爆破でも当たれば体が10m以上吹き飛ぶほどである。
「あぶねぇなぁ。俺が嫌いなものって知ってるか?回避不可能技だよ」
「知らないわね」
「そうか。じゃあお礼だ」
巳貴が身構えた。けど何も起きない。でも妖焔は笑っていた。その不気味な笑顔に一瞬目が奪われたとき。後ろから誰かが私を殴った。
「あ、やべこれパラレル俺だ」
そんな声が聞こえた。すぐに後ろを向きつつ空に飛んだ。煙が晴れた後に私の仲間はいなかった。全員首が切られていたり、体が一部消滅していたり。顔が潰れていたりで悲惨だった。
「残るのはお前だな」
「舐めないで。私は一人の方が得意なのよ。〔災いの依代〕」
5人全員が一瞬震えた。なにかであってはいけないものと出会ってしまったようなそんな雰囲気を急に巳貴は発したのだ。でも、妖焔は一瞬確かに震えた。だがすぐに巳貴の目を見て笑った。
「負けてらんないな」
そう言うと剣にカードをかざす。
「召喚!」
カードが手から離れて宙に浮く。そしてカードが大きくなりそれをゲートとして何かが出てくる。
「こっちは呪いそのものだ」
妖焔が想像した架空の存在。名前は“不可侵”。そう名付けられたそれの容姿は陰でできたような妖焔だった。それは動き出した。体を溶かして別の形になった。その姿は巳貴にそっくりだった。
「模倣ごときで私を倒せるとでも?」
「いや、違うね」
そう言うと妖焔はそれを斬った。すると巳貴の体から血が出てくる。
「!?まさか。それと私の体がリンクしてる?」
「まあそんな感じ。というかこいつのダメージをお前が肩代わりしてんだよ」
「でも、関係ない」
気付くと巳貴の体がから血は流れておらず傷は完全に治っているようだった。
いや、それだけではなく血さえも回収しているようだ。
「出血過多も望み薄か。でも俺がこいつの周りにいる限り範囲攻撃で攻撃はできないだろう?」
「そうね。だから引きはがすの」
巳貴はそう言って先ほどとは格段に違うとてつもない速度で妖焔に近づく。
確かに速い。でも、俺はさらに速い。
「なっ!?」
巳貴が驚きの声を上げた。それは妖焔が“不可侵”を盾にすることは愚か防御もしなかった。そして今の巳貴でも見えない速度で巳貴に近づき瞬く間に左腕を斬り裂いたのだ。
「なるほど。飛び散った後の血に含まれる毒性は自動で取り除かれると」
妖焔は地面に立って冷静に分析をしていた。その目は私ではなく私が使った魔法に対してのみ向けられていた。まるで私はもう相手にならないと思っているような、そんな目をしていた。
「……〔
私はもうなりふり構っていられなかった。正直もうここで諦めてもよかったのだ。でも、私のプライドが彼をどうしても許せなかった。
だから使うことにした。最終奥義の召喚魔法。
「なんか出てくるんだけど。え、なんか地面にひび入ってってね?」
そして地面が割れた。厳密には巳貴や妖焔の周りの地面の空間が割れた。そして彼らはみな一つの空間に飛ばされる。
その空間の名前は“
〔
「最終決戦かな?まあ、いくか。各自、武器は持ったか?」
「隊長!武器忘れました!」
「急いで用意しなさい。各自、魔法は考えたか?」
「隊長!魔法考え忘れました!」
「はよ考えろ。つかこのくだり良いから行くぞ!」
「うぇい」「ん」「はい」「わかった」
「協調性!」
くそみたいなネタを発表しながらそれを待つ。ゲートから無数の何かが大量に来る。名づけるなら…魔人だろうか?一体一体がかなりの強さを持っている。
だけど関係ない!邪魔は全部斬る。そうすれば絶対に勝てる!
「一気に減らすか!〔
妖焔が高く跳び魔人の中心に突っ込み着地地点で爆破を起こし大人数にダメージを与える。それに続き残りの4人も別々の方向に突っ込み魔人を倒し始める。
これは私の魔力が続く限りで続ける。それでいて消費する魔力を増やせばさらに強くできる。それでいて今の私は魔力を毎秒20%回復できる。つまりほとんど尽きることはない。このままいけば彼らが先に体力切れで私の勝ちだ。
だが、巳貴は失念していた。この魔法を使用している間、彼女は無敵というわけではないという事を忘れていたのだ。
彼らはただ無心で魔人を倒し続けているわけではないという事に気づかなかった。
「っ!」
そうして彼らの行動の真意に気付けなかった彼女の目の前には一本の槍が飛んできていた。
「なっ?!」
それをなんとか回避した巳貴は急いで妖焔と疑似人格たちを探し始めた。だがどこにも、どこにも彼ら5人の姿はなかった。
「どういうこと?」
「……死ね」
その言葉とともに突如目の前に現れた彼は手に持った刀をこっちに振り下ろす。それがギリギリはれた罠だと知らずに。
「うっ!」
巳貴の体は吹き飛ばされそして燃える。即席ではあるがなかなかに強い設置型の魔法だ。
「こっちなんだよなぁ」
今度は右から声が来る。もう罠はない。私は咄嗟に消費魔力が大きめの範囲魔法を使う。けれどそれが最適解だった。さっき飛ばした一人を除き4人が感電した。全員を倒したのだ。
「はぁ。私の勝ちね。……なんでこんな対抗心を燃やしてるのかしら」
「知らね」
「な…」
単語一つを言う時間もなかった。でも私にとっては長い時間でゆっくりと時間が動いた。そして目の前に彼が来て頭と離れ離れになった体を切り刻む。そして切っ先が頭に向いてそのまま私の頭を斬った。
「結局俺の方が強かったな」
空間全体にヒビが入り始めた。そのヒビは大きくなり空間が割れて元のグラウンドに戻って来た。
周りには友達や教師たちがグラウンドに出てきたおり警察も来ていた。なんならニュースキャスターのような人もおりなにかを報道していた。
あっちの空間には数分しかいなかったのにな。こっちじゃ向こうの10倍くらいの速さで時間がたっていたのかもな。
多くの人の視線が突如として現れた俺に向けられた。友達は感極まり、教師は困惑し、警察に至ってはこちらに拳銃を向けている。マスメディアはこちらに近づこうとしている。
「動くな!銃刀法違反、及び殺人未遂の現行犯だ」
「いや、未遂じゃないぞ。ちゃんと殺した」
「……貴様を逮捕する」
「俺は最強になったから銃で撃たれても効かないぞ」
「なっ」
警察をよけいこちらを睨む。もう少しでキャスターがこちらに到着してしまう。
「このあとどうするの?」
「まあ。コツは掴んだし。行くか、異世界」
「マジかよ。面白そうだな」
「別に私は何でもいいですよ。それにほとんど妖焔さんが倒しちゃったので色々暴れたい気分です」
「みんな乗り気だし僕もそれでいいよ」
「じゃあ頑張って現代社会とダンジョンが適合してる世界探すかぁ」
「「「「おぉ」」」」
そう言って俺たちはこの世界から消えた。
「「「「「「は?」」」」」」
その場にいた人たちはみんな呆気に取られて動かなくなっていた。顔もまるで埴輪のようになっていた。
「はいは~い。どうもぉ!俺だぁ!」
「僕だよぉ」
「私です」
「我~」
「俺様~」
「つうわけでいつも通り深層で暴れちゃおう~!」
:始まった~
:マジで名前適当すぎて草
:↑おいおいこのチャンネルは初めてか?まあゆっくりしてけよ
:このチャンネル見てると深層の脅威度がどうしても低く見える
:まあ大体出オチだもんなw
「あ、そうだ。今日は深層のさらに奥にも行っちゃうよ~」
「マジかよ」
:うぇ!?
:深層のさらに奥?
:それって…
:冥層だぁぁぁぁぁぁぁぁl!
:冥層の動画なんて上がるの史上初だろ
:やっぱり異世界から来た奴は格が違う
「ふふ。やっぱり面白いねぇ」
めでたしめでた……し?
まあfinではある。でもハッピーエンドか聞かれると微妙だね。
制作時間は3時間くらい。頑張って書いた!
どこにでもいるような高校生男子がパラレルワールドの自分に殺されかけて覚醒して分身したりなんやかんや無双するお話 𠂤刕牡 梶海 猫部顧問 @taigahakaziki
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