伝説の剣 19話
他国もミラー達の国とほぼ同じ状況のようなので、応援は望めない。
国の男達は伝説の剣を引き抜こうと、結界を通過しようとするが、みな結界に弾かれてしまう。
ミラーを含め、国の人々は祈り続ける。
だが、バレイの呪いは解けない。暴動は収まらない。剣に選ばれし者は現れない。
ミラー達は伝説の剣の前で、祈りを捧げていた。
その後ろにラタ王子とその執事が立っていた。
ラタ王子「まるでアーサー王のエクスカリバーだな」
執事「ラタ王子はあの剣を引き抜こうと思わないのですか?みな試していますが」
ラタ王子「俺はいいや、戦いたくない」
暗く冷めきった声で呟く。
そして、0時00分になると鐘が鳴り響く。
みなが今日は魔物が来る日だと、ざわめき始める。
ついには、誰も剣を引き抜こうともしなくなった。
だが、ナルハ王妃は。
諦めてはだめよ!祈りはきっと届く!
魔王軍幹部の前で尻込みせず、兵士たちよりも前に出て、話し合いに応じたナルハ王妃のその一言に希望を持ち、みな目を閉じ、再度祈りを続けた。
ナルハ王妃とミラーの後ろに祈る市民が大勢いる。他の姉妹たちは父がなんとかしてくれるだろうと、城の中でそれぞれの時間を過ごしていた。
国王(父)はというと、誰もいない王座の部屋の中で一人頭を抱えていた。
王座の部屋にある時計の針の音が鳴り響く。
ただ時間が過ぎ去るばかり。
その時、祈りを捧げているミラーの隣にいた移民の少女が、ミラーの袖をつかむ。
ミラーは目を開け、その子の方を振り向く。
お姉ちゃん・・・
と弱々しい声で、移民の少女は不安気にこちらを見つめる。
その子の目を見ると、祈る手を解き、周囲を見渡す。皆目を閉じ手を合わせ、奇跡を信じている様子であった。
ミラーは片手で頭を抱え、歯を食いしばる。
ミラー「王子様なんていないんだ・・・!」
そう言い放つと、伝説の剣に向かって走る。
ナルハ王妃はそれにいち早く気づく。
ナルハ王妃「誰かあの子を止めて!」
しかし、周囲は予期せぬミラー姫の行動に対応できず、困惑しているだけであった。
ミラーはジャンプすると一っ飛びで、地面から、3mはある巨大な岩の上に立つ。
ナルハ王妃「やめなさいミラー!結界に弾かれて、怪我でもしたら・・・」
ミラーは母の言葉に目もくれず、結界に触れる。
傷なしの勇者姫 ミラー @naminami025
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