第33話 親父との別れ
深夜。久しぶりに家に帰った。
玄関を開けた瞬間とてつもない匂いがした。
酒の匂いだ。臭いとかそういうレベルじゃない。異常と思えるくらいアルコールの匂いがした。そのアルコールの中を進んでいくと居間に親父の姿があった。数日帰らなかっただけなのにゴミにまみれ、タバコの火もつけっぱなし、転がるビールの缶。コイツ1人で生きていけるだろう、と思っていたが夢の話だったようだ。
まぁ、コイツが死のうがどうでもいいが死んでもいいと思ってるなら殺させてくれたら楽なのに、と思った。
しかし、今日の目的はそんなクズを見にきた訳じゃない。
ガサガサと起こさないように棚を探る。そして見つけた。
「やっと、あった」
「ニンゲン、何探してたの?」
「見ろ。これ。」
「何、それ?」
「通帳とカードだよ。」
このクソ親父、金だけは貯めていたらしい。
300万ほどある。
「貰っていこう。100万くらい。行くぞ。コンビニ。」
近いコンビニに行く。深夜だ。生気のない店員がそこにいた。今から100万も卸すヤツがいるとも知らずに。
何事もなく100万を卸したカオルは通帳とカードを棚の中に入れる。
そして………
「じゃあな。親父。もう会うこともねーだろうな。」
と言って玄関から出ていく。
「ニンゲン。」
「何だ?」
「ニンゲン。お金とってバレないの?」
「バレるかもな。」
「バレてもいいの?」
「いいよ。別に。バレたらバレたで、手がある。」
「先まで考えてるんだね。」
「先まで考えて行動しなきゃ意味ねーだろ。バレたら今までの親父の行動バラすか、
ぶっ殺すか。」
「殺すの!?」
キラキラした笑顔を見せる死神。
「計算の内に入ってるだけだ。ただぶっ殺すかはその時次第だよ。さぁ、行くぞ。また野宿、いやネカフェくらいは行けるか。行くぞ。死神」
「オーケー。ニンゲン!」
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