【理系警視2】多重人格、咆哮。
岡 辰郎
あらすじ
多くの権力者を顧客に持つ凄腕占い師・朝比奈純礼は、異常な他殺体の第一発見者として警視庁蔵前署に保護される。純礼の警護を任された本庁管理官の篠原警視は、量子物理学の第一線で活躍する研究者だったが、訳あって警察幹部に転身していた男だった。殺人現場の証拠から、犯人は5重の人格を持つ有名作家、薬師寺だと断定される。
薬師寺は過去に猟奇殺人事件を起こして「高次脳科学研究所」で研究対象となっていたが、研究所の〝事故〟とともに行方不明になっていた。その事故は、他者の人格をコピーできる薬師寺の超能力によって引き起こされたことは隠蔽されていた。しかし〝異常な他殺体〟は、薬師寺の中の人格の1つである爆弾テロリスト・岩渕のものだった。そして純礼もまた、薬師寺に人格を〝盗まれた〟1人だった。薬師寺はスキルや記憶を含めた完璧な人格の同一化を行うために、対象を殺し始めたのだと推測された。
純礼も命を狙われていると考えた権力者たちは、本格的な警護に動き出す。日本に滞在する予定のグローバル企業・ネクストチップスのCEOの協力を得て、警戒厳重な軽井沢の別荘に純礼を匿う計画を立てる。しかし篠原が指揮を取った移送の開始直後、彼らは都心で過激な破壊活動を伴う罠に追い込まれてしまう。純礼の占いの助けでかろうじて難を逃れたものの、警護計画は全面変更を迫られる。薬師寺が海外の民間軍事会社(PMC)の協力を得ていると推定した篠原は、自衛隊特殊作戦群の協力を要請する。
そして、激しい戦いが繰り広げられていく――
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