1000年ぶりにおはよう世界!さーて、人類はどうなっているのか…な………滅亡してんじゃねぇか!!〜八つの封印と7つの聖剣〜

不定形

第1話 おはよう世界!

 暗闇の中で目を覚ます。


「……ぁあ?もう1000年か?」


 俺の問い掛けに、聖剣とは名ばかりの、金色に光る左手のみの籠手ガントレットが現れ、その姿が人に変わる。180ほどの身長に、腰まで伸びた金髪、スラリと伸びた手足とスリムな体躯をもち、ビビるほどの美しい顔は、無機質な無表情をしている。


『そうですよ持ち主サママスター。おはようございます』

「1000年経っても敬いの気持ちはねぇのか?シユ」

『1000年間寝惚けていた人を敬う?私にも敬う人を選ぶ権利があるのですよ?』

「おぉ言い過ぎじゃない?寝たくて寝てた訳じゃないんだけど?」


 綺麗な声で俺に口撃する人化したガントレットは、世界に7つしかない七聖剣の一つ、《七振:崩壊》だ。

 七聖剣なんて言われてるが、その内の6つは剣の方をしていない。理由は、持ち主に合った形に姿を変えるからだ。俺は、素手が一番やり易く、その中でも左手を防御によく使うから左手のみの籠手に変わった。他の聖剣は剣、弓、槍、杖、戦鎚、盾と、七聖剣とはと言いたくなるようなラインナップだ。過去には、聖剣の中に剣が無かった時代もあるらしい。そんな中で、何故七聖剣と呼ばれるのか。それは、初代使い手が全員剣の形をしていたからだ。


「それで?出られそうか?」

『当たり前です。私はマスターと違って優秀なので』

「左手だけのポンコツがほざきよるわ」

『…私だけ出ることも出来るんですよ』

「脅迫とか狡いごめんね」

『マスターより優位なこの状況…イイですね。とても』


 こ、コイツ…!


「まあ、とりあえずよろしく頼むわ」

『かしこまりました』


 どこからともなく剣を出し、それを上段に構え、振り下ろす。空間に斬れこみが入り、眩い光を放ちながらヒビが広がっていく。


「かっけぇ演出だな」

『派手な方が良いかと思いまして』


 爽やかな風が吹く。瞬間、世界が音を立てて崩れた。

 さぁて、どんな所に保管されてるのかなぁー?


「ん?あー…ここどこ?」

『1000年前から動いていない筈、ですが…』


 地下か、壁に囲まれてるかと思ったら、まさかの草原のど真ん中。いや、まあ爽やかな風が吹いたからおかしいとは思ったが。


「……人の気配がしねぇ」

『私の方でも、人間の反応は拾えませんね』


 気配を探ってみれば、人らしきものが何もなかった。シユも同じらしい。星の裏側だろうと感じ取れる筈なのだが、何の反応もない。え?人類滅んだか?


「まいっか。動いたらわかるだろ」

『馬鹿ですか?と言いたいところですが、それが一番手取り早いですね。マスターは勿論ですが、私も、賢い方ではありませんからね』

「一回俺を貶さないと喋れねぇのかバカ」


 そう言いながら、歩き出す。とりあえず、他の聖剣使いのアイツら探すか。

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