約束――永遠の愛――

夢野アニカ

第1話 少女の見た夢

 教室の窓辺で風を受け、優しく波打つカーテンがうたたねを誘う。

 少女は水中をブクブクと湧き出てくる泡に包まれているような心地よい感覚を味わっていた。


 ――とわ、――とわ。


 視界の悪い泡粒の向こうの方に大きな建物が見える。

 お城のようにも街のようにも見えた其れの奥深くから声が聞こえてくる。


 ――とわ、――とわ。


 声の主に耳を傾けようとすると何かを思い出しそうになり、心が温かいものでいっぱいになる。


 ――とわ、其方そなたに決めた


 ――とわ、――永遠とわ、――新島永遠にいじまとわ


「こらっ、新島永遠! いつまで居眠りしているつもりだね」

 少女はハッとした。

 辺りを見渡すとクラスメイト達がこちらを見て笑っている。


「新島、この学校は田舎で進学率が悪いとは言え、世の中じゃ中3は立派な受験生なんだよ。しっかりしたまえ」


 教卓の前では夏前だというのに眼鏡をかけた太った国語教師が汗を額からいくつも流していた。

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