20240802

@ata_g9u

第1話 消失とその境界

小さくてくだらなくて誰かから笑われるようなことでふと死が頭をよぎることがある。

この世の中じゃ生も死も等しく軽いのだ。

喪にふくす儀式が簡素化した今日じゃ多くの人は死を身近に感じる機会がない。ないからこそ線を引く方法を知らない。生と死がごちゃまぜでいつでもどちらにでも転べるのだと思う。どれだけたくさんの文章を読んで、映画をみて、間接的に死に触れてもそれでもまだ輪郭がぼやけている。境目を見ることも作ることも不可能である。

子供から死を遠ざけたのは紛れもなく大人である。知らないものは、畏怖の対象、そして興味の対象になり得る。そう、言ってしまえば死への興味が尽きないのだ。天国にも地獄にも興味は無い。天国があるならきっとここで、地獄があるとしたらそれもまたここなのだ。

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