新たな世界でほのぼのと

山鶉

プロローグ

目を開けるとそこには色とりどりの花が広がっていた。見上げると雲一つ無い青空。そうだ、私はあのとき。


私、小鳥山香花里はトラックとの交通事故で死んだ。あの日は雨が降っていて、私が信号待ちをしていたときに急にトラックが突っ込んできてそのまま…。結構あっけない人生だったな、と悲しいような寂しいような、なんともいえない気持ちになった。




「お姉さん。」


声のするほうに目を向けると、そこには金髪でハチミツ色の眼をした女の子が私をのぞき込んでいた。目が合うとその子はニコッと笑っていた。


「お姉さんも死んじゃったの?」


私はうんとうなずくと、


「私も死んじゃったの。」


と少し寂しそうにうつむいた。そうして私の横にちょこんと座った。


「私ね、お母さんとお父さんが死んじゃってね…」


そういうと、女の子はポツポツと話し始めた。


その女の子が話すには、元々貴族出身で裕福な家庭に生まれたのだが、流行病で両親が亡くなってしまい、働いていたメイドに育てられることになったのだが、そのメイドも事故で亡くなってしまい、一人になった女の子は餓死で亡くなってしまったそうだ。


「お姉さん、お名前は?」


女の子は私をじっと見つめながら聞いてきた。金色の髪が日に照らされてキラキラとしていた。


「小鳥山香花里っていうの。」


そういうと、女の子は不思議そうに首をかしげた。


「なかなか聞かない名前だね。私の名前は、フィオラっていうの。」


外国の人の名前かな、と思っているとフィオラはニコッと笑って、


「私ね、魔法が使えるの!」


といい、手を空にかざした。そうすると、空から雨が降ってきた。


あっけにとられて見とれていると、


「カオリお姉ちゃんは何か魔法が使えるの?」


と聞いてきた。


「私の住んでいたところは魔法を使える人はいなかったよ。」


そう言うと、フィオラは興味を持ったのか、どんなところに住んでいたのか聞いてきた。私は日本というところに住んでいたこと、魔法という概念がなく、代わりに科学が発展していること、こんなおいしいご飯があったなど色んな話をフィオラに聞かせた。


話し終わると、フィオラも住んでいたところの話をしてくれた。フィオラが住んでいたのは魔法やモンスターのいるファンタジーな世界で、冒険者や魔法使いなどの職業があることなど様々なことを教えてくれた。


二人でお互いに話をしていると、突然フィオラが立ち上がった。


「お母さん、お父さん、ノーヤさん!」


フィオラが見つめる先を見ると、そこには3人の人陰があった。


「迎えに来たみたい。」


そういうと女の子は私のほうを向いてニコッと笑うと、


「カオリお姉ちゃん、またね!」


そう言って、フィオラは三人の人影の方へ走っていった。そしてその姿は光の中に消えていった。


少し寂しい気持ちになりながら、私にもお迎えが来るのかな…、と考えながら急な眠気に目を閉じた。

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