殺される夢

蘇芳

第1話

ん....ここは、?

私は気づけば病室にいて、ベッドに寝ていたようだ。なぜここにいるのか上手く思い出せない。起き上がって周りを見回してみると、同じように5人の子供がベッドにいた。なぜここにいるのか聞いてみると、みんな病気や怪我で入院しているようだった。しかし、私が入院している理由まで知っている人はいないようだった。不思議に思いながらも、談笑しているとコツコツと、廊下から足跡が聞こえてきた。

ドアが開くと医者と看護師達が入ってきて、私達に薬や、注射などをしてまた出ていった。

(なんの薬なんだろう...)

疑問に思いながら私も飲み薬を飲んだ。

しばらくすると廊下の方からまた足音が聞こえてきた。どうやらこちらに来ているようだ。

また、医者たちがやってきたのかと思ったが開いたドアから入ってきたのは5歳ほどの女の子と8歳ほどの男の子だった。

(誰かの兄妹なのかな?)

そう思い、話しかけようとした時。女の子がサッと何かを持って入口付近のベットに座っていた子に近づいていくと、グサッっと彼の首をナイフで切った。首を切られた子は叫び声もあげることなく倒れ、動かなくなってしまった。返り血で血まみれになった女の子は無表情のまま窓際に歩いていった。

「きゃぁぁぁぁ」

近くのベットの子達が叫んでいる。逃げようとする子もいるが、先程入ってきた男の子がドアの前にいるため出れないようだ。

(なに、何が起こっているの?)

私はこの状況を受け入れられず、呆然と女の子を見つめることしか出来なかった。

しばらくして、静かになった病室に医者がまた入ってきた。医者は殺された子を一瞥するとこちらを見てこう言った。

「次は誰の番だろうね」

そして医者はまた病室から去っていった。女の子と男の子はそれぞれ窓とドアの前からピクリとも動かない。

次は自分が殺されるかもしれないという恐怖から、泣き始める子や動けなくなってしまう子もいた。しかし、1人の子が狂ったように叫びながら走り出した。

「助けて!お母さん助けてよ!!」

そんなことを口走りながらドアの方に駆け寄って行くと、男の子を押し退けて出ていこうとしたその時。

バァン....

銃声が響いたと思うと、さっきまで出ていこうとしていた子がドアの前で倒れていた。男の子の手には銃が握られていた。また人が殺されたショックで病室は混乱に陥った。私は恐ろしくなり、最初にいたベッドの方に逃げた。

バツン....

また音が響いたと思うと、病室の明かりが消え真っ暗になってしまった。

(どうなっているの....逃げないと殺されてしまう!)

そんなことを考えながら、暗闇でジッとしていると、また電気がついた。明るくなったと思い目を開くと目の前に血まみれの女の子がいた。

恐怖に身体が竦んでしまっていると、女の子が口を開いた。

「あんたはもう用無し」

そう言いながら私の胸めがけてナイフを振り下ろした。









「いやぁぁぁぁぁ」

叫びながら私はベッドから勢いよく起き上がっていた。さっきまでのことが現実だったかのように汗がじっとりと滲み、胸がズキズキと痛んでいた。

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殺される夢 蘇芳 @momoryo

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