第11話 喰代コウが、想真に・・・・・・
……………………俺は、追いかけていた。
ショートカットの髪を風に揺らし、制服から伸びた白い手足を躍動させ走る後ろ姿を……
「まっ待ってよー」
俺の呼びかけに先行者がチラリと振り返る――前を走っていたのは笑顔の美少女、
青々とした空の下、俺達は広々とした草原を駆けていた。
「お願いだから待ってよー……」
足を止める気配のない彼女に、今度は懇願する様に後ろから呼び掛ける。
が、彼女は速度を緩めない。
たまらず――
「本当、君は誰なんだー!!」
俺の叫びに、先程とは違いイタズラっぽい笑顔で振り返る。
「私を掴まえてみなさい。そうしたら教えてあげる」
そう答えると、彼女は走る速度をさらに上げた。
此方も、もうこれ以上離されまいと必死に食らい付く。
――少しずつ俺の速度が増し、彼女の背中が徐々に近づく。
そして俺の指が彼女の肩に触れた瞬間、絡まり合う様に俺達は草原に転がった。
ハァー――ハァー――
肩で息をしながら、俺は彼女を見詰める……
今、彼女は草の上で仰向けになっており、俺は彼女に覆い被さる様に、両の手を地面についていた。
「ハァ……君は……ハァー誰なんだ……」
息苦しさで途切れ、途切れになりながらも必死に問い掛ける。
対して彼女は少し悲しげな表情をして、首を傾げるように横を向く。
「教えてあげるから……目を閉じて……」
俺は言われるがまま、目を閉じた。
すると、彼女の手が俺の両肩に掛かり、少しずつ彼女の気配が近づく。
そして彼女の頬が、俺の右頬に触れると、息遣いが直接、耳に伝わる……
「私は…………」
――――――「イッてぇー!!」
突然、強烈な痛みが首筋に走り、たまらず俺は起き上がった。
「――どうしたの? 大丈夫、伊達君!」
カーテンの隙間から、眼鏡を掛けた白衣の女性が俺を心配そうに見ていた……
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