第25話 林の中を目的地も決めずに進んだ。

 朝起きて、昨日の残りとパンで朝食を済ませた。今日はどうしようかな……まだ、帰りたくないし。


「この先に進んでみよ?」

「……良いですけど、大丈夫なのですか?街から、どんどん離れちゃっていますけど」

「スーちゃんが良ければ進んでみたいなー」

「分かりました。この辺一体は低級の魔物や魔獣しか出ないと聞いていますので」


 スーちゃんがよそ見をしている間に……テントごとバッグに仕舞って片付け終了っと。さすがに気付くかとおもったら気にする素振りもなかった。


「えっとさぁ……テントとか不思議に思わなかった?」

「……思ってますよ……!でも、スキルや魔法を聞いても普通は教えてくれないですし、聞かれる方もイヤでしょうし……切り札をバラす訳になるので」


 そっか……そうだよね。ここは魔法の世界で特殊なスキルや魔法は隠して置くのが普通か……切り札ね。結界もバラしちゃ不味かったか。あれこそ切り札って感じだよね。攻略法を探られたら不味いよねぇ……。まぁ結界を攻略されたとしてもバリアがあるし。結界はバリアより劣るけど入れなくしたり攻撃を防いだりも出来て長期間持続が出来る感じかな。バリアは短時間に強力な盾って感じで物理、魔法の攻撃を防げるって感じかな?そんな理解をしてるんだけど……あってるのかな?詳しくは知らないんだよね。


 出発をする準備が整ったので、スーちゃんと手を繋ぎながら先に進んだ。途中で結構な魔獣や魔物の気配がするので片っ端に魔石を強制回収をして安全の確保をした。


「……聞いた話と全然ちがいますね……結構魔物や魔獣が現れて苦労したと聞いているのですが……」

「そうなんだ……コワイねー」

「……その言い方、全然……恐がっていないですよね?」


 スーちゃんにジト目で見られた。だって~対処しちゃってるしコワくないんだもん!魔石がかなり増えちゃってるけど……無限に入るから別に関係ないかぁ。

 そうだ!ルリちゃんとスーちゃんに販売をしてもらえば良いんじゃない?6:4でどうかな?良いと思うんだけど……


「スーちゃん、スーちゃん!魔石の販売をしてくれない?6:4でどうかなぁ?」

「え?良いですよ。実は林に入って討伐するのが苦手で……助かります」

「じゃあ決定ねー!」

「はい。それで……どのくらいの量があるのですか?」

「えっとねーいっぱい!」

「そんな、いっぱいと言われても……具体的には?」


 知らないよ……数えてないし。


「100個以上かなぁー」

「……そうですか。100個以上ですか……そうですか……えっ!?100個以上ですか!?おかしくないですか!?昨日までは所持して無かったですよね?ボクから買っていましたし……詳しくは聞きませんけど」

「うん。秘密ー」


 順調に魔物や魔獣に遭遇をすること無く進んでいた。


「……全く会わないのは、おかしいです!」

「スーちゃんが、討伐が苦手だって言うから頑張ってるのに……討伐したいの?」

「やっぱり……ミサちゃんの結界ですか……理解できましたよ。助かります」


 結界じゃないんだけれどね……勝手に納得してくれたから良いか。思ったより順調に進みすぎて切り立った崖の壁が見えてきた。


「ここまで来ちゃいましたか……普通は、2日以上は掛かる場所ですよ」


 そっか、魔物や魔獣と戦いながら移動をしていれば警戒をして移動速度も落ちるし、討伐して足止めされるし討伐すれば疲労も溜まるだろうから休憩をするからね。


「この辺で休憩をしようか!」

「そうですね。順調に来れましたし……って、別に目的地があるわけでも期限がある訳じゃないので休憩しましょう」


 私も警戒をするのに少し疲れたというか、面倒になってきてたので魔石に魔力を込めて数個を転移で囲むように配置して不可視化、入れないようにした。


 休憩で紅茶とお菓子を渡すと、スーちゃんが笑顔になって対面で座っていたけれど、隣に座り寄り掛かってきて甘えてきた。ご機嫌だねーお菓子の力すごいなぁ……美味しいって言ってたクッキーだしねぇ。


 スーちゃんの口の周りにクッキーのカスが付いていたので……今朝の事を思い出して……ドキドキしながら声を掛けた。


「スーちゃん、口の周りに付いてるの取ってあげるねー」

「え?あ、ありがとうございます」


 スーちゃんの頬を片手で触り、私の方を向かせて指で優しくゆっくり撫でて、感触を味わった。柔らかくてぷにってした感触が良いよねー


「もうちょっと触ってて良い?」

「えっと……カスは取れたのでは……?」

「うん。取れたよー」

「……触りたいだけとか……?」

「うん♪」

「良いですよ……恥ずかしいですけど……」


 わぁっ!スーちゃん公認で触れるんだぁ……うれしいー♪ジッとして動かないようにしていて目を逸らしていたスーちゃんが、私を見た。


「あの……ミサちゃんも口の周りに……」


 そう言うと私の頬を触り、同じ様に口の周りにを指で撫でて唇を触ってきた。うわぁっ……何だかエッチ!恥ずかしい……お互いの唇を触り合うって……なにっ!?このままキスとかしちゃう感じじゃない!?スーちゃんも頬が赤いし……表情がエロいよートロッ♡としてるしさぁ。

 

 いい雰囲気で楽しんでいた。

  

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