第16話 授業で使うナイフを忘れて……

 待っているのも暇だし、任せっきりっていうのも可哀想な気がしてスーちゃんに付いていくことにしたら、皆から止められた。


「ミサ様……ダメですわ」

「お姉ちゃんっ!よく考えて下さい。魔物や魔獣が襲ってくる危ないところへいかないで下さい!何のためにお金を払うんですかー!?それに、魔物や魔獣の解体を見るつもりなのですか?」


 あ……そうだった。解体が苦手だから任せるんだった……解体をするのも見るのもイヤ。ごめん!スーちゃん……お任せするよ。


「ごめんね!ついていこうと思ったけれど……見るのもムリだったぁ……」

「……いいですよ。一人で大丈夫ですし……待っていて下さい」


 そう言うと一人で行ってしまった。


「魔物や魔獣って直ぐに見つかるのかな?苦労しないかな?」

「探す苦労はしないのではないですか?勝手に、向こうから寄ってきますわ。私の連れは簡単だと言ってましたわ」


 それを聞いてホッとした。ムリな事を言ってるんじゃないかって思ってさぁ……壁に寄りかかってホッとして座り込むと、頬を赤くさせて皆の視線を感じた……


「お、お姉ちゃんっ!立って下さい!もぉ!」


 あぁ……パンツね……別に良いじゃないの……サービスだよぉ……えへへ……♪ 男子にも女子にも興味を持たれた事が無かったし……少し嬉しいかも。あれ?痴女ってやつになるんじゃ?そんな趣味は無いのだけれど……?喜んでくれるのが嬉しいだけだもんっ!


 これだけ女の子好きが集まってるのは珍しいよねーホントに天国みたいな環境だよね!元の世界じゃ孤立しておかしな目で見られて孤独を感じて過ごしていたし。それが今じゃ……回りに可愛い美少女に囲まれて、私を見て頬を赤くさせてるんだよ?幸せー♪


「ねぇ、みんな……ずっと一緒にいようね?ねっ?」

「うぅ〜ん……」


 皆が俯き考え出した。え?ダメ?ダメなの?そっか……みんな領主の娘とか貴族の娘だもんね……勝手に決められないかぁ……リコちゃんは嬉しそうな顔をしていた。


「一緒に暮らせる家とか……生活するお金とか必要だよ?」

「そうですわよ……それと、両親を納得させるだけの何かが必要ですわね」


 そっか……皆、嫌だから俯いていたんじゃないんだね。それが分かっただけでも嬉しいよ。未だ時間はあるし……一緒にいてくれようとしてるんだし、皆で考えればいいよね~♪


 昼休みが終わり、スーちゃんが帰ってきた。


「スーちゃん、お疲れ様。どうだった?」

「……大丈夫。みんなの分も採れた」

 

 スーちゃんに、お金を少し多めに払うと断ってきたけど強引に渡すと素直に受取り、リサも多めに渡しているとルリちゃんが申し訳無さそうに初めの金額を渡した。


「ごめんね……わたしお金そんなに持ってなくって……」

「ううん。大丈夫だよ……。ミサ様とリサ様に多めにもらっちゃったし……」


 授業が始まると、皆がナイフと取り出した。え?何も聞いてないんですけれど……完全に人任せにしてた私が悪いんだけどさぁ……どうしよ?


 壁の修復が出来るって事は……部質が出来るって事だよね?穴の空いた部分に無の部分に部質で埋めて直したんだよ。うん……って事は……部質の具現化だよね?イメージだよね?


 回りを見渡してカッコ良さそうなナイフを持っていたリサのナイフをよく見てイメージを出来るようにした。よし……!覚えたっ。


 皆から見えないように膝の上でナイフをイメージして、壁を直した時と同じ様に魔力を放出をすると……魔力が可視化してナイフの形状になり、更に追加で良く切れて……耐久性も向上させておこうっと……材質は、アニメで良く出てくる軽くて丈夫で魔力の纏わすことが出来るんだっけ?適当にイメージして具現化を終えると、ポトッ!膝の上に落ちてきた。

 私……すごいっ!褒めて欲しくてルリちゃんを見て自慢しようかと思ったけど、なんて説明をして良いのか分からず、説明が面倒だったので止めておいた。


 手に持ち眺めていると、明らかに材質が異様でピカピカなナイフに、くすんでいる古そうなナイフがあるけれど……私のは……なにこれ?青白く光を纏っていて不思議な感じカッコいい!机に置くと光が失われピカピカな新品のナイフに見える……ついでにナイフの部分にミサって名前も入れておいた。


 こういう物を持つと試し切りをしたくなってくる悪い癖が出てくるのは仕方ないよね……うふふ……何を切ろうかしら〜


 カバンをガサゴソと漁っていると……魔法の実技で使っている木材質の魔法のスティックを見つけた。スティックを使って魔法の精度を上げれるらしい。切っちゃっても良いよね?どうせ直せるんだし……いや、もっとカッコいいのを作っちゃえば良いんじゃない?ナイフと同じミスリル?みたいな材質にしちゃえ♪


 授業を聞いている振りをしてスティックを切ってみると……スパッと言う感じではなくて、何の抵抗をもない感じスルッ……っと豆腐を切るより簡単に切断が出来た。面白くて切り刻んで遊んでいると……机の上が木の破片だらけになってしまった。


「ミサちゃん……何してるのですか……散らかしちゃって……」


 ルリちゃんに見つかってしまって、仕方ないんだから……という表情をしていた。ふん。木の破片を集めて手を翳して……消えちゃえっ!と魔力を流すと木の破片が霧散して消えた。わぁ……っ、カッコいい!まるで魔法使いになった気分だよっ。あれ?魔法使いなのか!あはは……忘れていたよっ。うふふ……私、すごい魔法使いっ♪

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