第10話 魔法の屋内練習場で……
リコちゃん先生と、選手が魔法を放つ場所の端っこに向かうと早速、爆発音が鳴り響き出した。
ドーンっ! ドーンっ! ドカーン!と聞こえ始めて皆ちゃんと的に当ててる。さすが貴族の魔法の学校に通っているだけあるよね……私なんか通い始めて1週間のヒヨッコだし当てられるか不安だなぁ……。それ以前に魔法が、さっきみたいにちゃんと出るかな?心配だなぁ。
「お姉ちゃん……集中ですよ」
私の後ろに立ったリコちゃん先生が、優しい声で指示をしてくる。一緒に居てくれて心強いよ♪ あ、でも……その後ろに監視役のシャルちゃんが睨んでいるんですけど?
ん?あれ?よく見ると睨んでない……か、あぁ……さっき仲良くなったんだよね……私を見つめてる?あはは……かわいいっ♡
「うん。分かった……集中、集中……」
「……お姉ちゃん……がんぱって!」
リコちゃん先生とシャルちゃんが応援してくれて心強いなぁ……♪ これで魔法が使えなかったら恥ずかしいかも。
えっと……火?さっきみたいに魔力の球?どっち?でも、なんか……的からボンッ!って火が出てたよね?じゃあ……火球のイメージかなぁ……?良し!イメージ……
野球ボールくらいで良いかな……威力は、サプライズだし……的が破壊できるくらい?速度は〜速い方がカッコいいよねー……バキューンって♪ライプルの弾のような感じかな!
イメージ終了……。後は、的に手を翳して……的に当てるイメージをしてー……放つ!
キューンッ!! ドッカーーーン!!……パラパラ…………
轟音が鳴り響くと辺りがシーーーンとなり静まり返り、ゆっくりとリコちゃん先生の方を振り返ると、2人が驚いて座り込んでいて顔を青くさせていた。
「リコちゃん……?大丈夫?あれ?喜んでくれないの……?」
「お、お姉ちゃん……何ですか……今のはっ!?」
「え?火魔法でしょ?火球のさー」
「……そうですか……火魔法の火球は……こうですよ」
ルリちゃんが構えて詠唱を唱えて火球を放った。
シュー…… ドーン!
隣の的へ当てて火が燃え上がった。リコちゃん、さすがー♪ ニコニコしてリコちゃんを見ると喜んでくれないし。もっと褒めてくれると思ってたのにー! 私、魔法を使えるようになったんだよ!?
「これが普通の火球ですよ」
あれ?普通の素っ気ない表情のままだし……
「リコちゃん?」
「お姉ちゃん……さすがですっ!ビックリ……です……いつの間に魔法が使えるようになったんですか!?わたしに黙って……練習をしてたのですかー?ヒドイです」
そう言うと目を潤ませて抱き着いてきて、シャルちゃんも嬉しそうに私に抱き着いてくると、他の皆も集まってきた。
「今のって……ミサちゃんが?」
ルリちゃんが驚いた表情をして聞いてきた。ルリちゃんは、さっき見てたでしょ?それに他の皆も驚いた表情をしてるけどさぁ。さっき見てたよね?
「あの様な魔法を放てるのは、ミサ様しかいないでしょ……」
「……ですよね」
「結界の張られた的が……爆散してますわね……」
そう言えば自分から聞いたんだった……的は壊れないって……あはは……やり過ぎたみたい?でも、魔法の威力が強ければ文句も絡まれたりしないし、尊敬されるから良いんだよね?
「今の魔法って……なんですの?」
「えっと……火球だけど?」
「……違いますわ。絶対に……火球が、あの様な速さで放てる訳がありませんわ」
「……火球ですー」
「そ、そうなのですね……火球ですわ」
リサを睨み頬を膨らませて言うと、目を逸らして仕方無さそうに認めて他の人も、納得できていない表情で頷いてくれたが……
「あれは、火球ではないです。べつの何かです」
リコちゃんが、躊躇なく否定をしてきて皆に注目された。
「リコちゃん、あれは火球なのー!火球をイメージして放ったんだしー」
「……火球の詠唱は、したのですか?」
あ、忘れてた!イメージをする事に集中してて完全に忘れて……え?詠唱って必要ないじゃん?無詠唱で放てるじゃん!これって不味いのかな?皆は詠唱してるし……私って変?
「……詠唱……したもんっ!」
「詠唱が聞こえませんでしたけど……?」
リコちゃん……それ、ここで言っちゃって良いの?変に思われちゃうよ?まぁ……言っても問題ないから聞いてるのかな……?
「……忘れてたっ……えへっ♡」
「……無詠唱ですか……さすがですっ!無詠唱の領域まで辿り着いていたのですね!!きゃぁ♪」
リコちゃんが急に笑顔になって喜びだして、他の人は呆然と私達2人を見つめていた。そんな驚くことなの?魔法を習い始めて1週間のヒヨッコの……ハズですけど?
「他には、どんな魔法が使えるの?」
あれ?リコちゃんの口調が家にいる時の甘えて来る感じになっちゃってるじゃん。どんな魔法かー、多分イメージできる魔法なら何でも出来る気がする……
レーザー光線とかカッコ良いよねー!レーザー光線って光魔法って感じなのかな?手を翳すのって違うよね……指を差してだよねー
的に指を差してイメージをしてレーザーを放つ。
シュンッ! パシュッ!
辺りが閃光で照らされると、的に穴が空き観客席のある壁に穴が空いた。あ、威力調整を忘れてた!でも、まぁ……直ぐに直せるんでしょ?
振り返ると、皆が驚いた表情をしていた。なに?見たいって言うから見せたんですけど……そんな反応をするんなら見せてあげないよっ!
「なによー?その反応は!見たいって言うから見せたんですけど!」
「その……魔法は、なんですの?」
「……光魔法のレーザー光線?」
「……?」
「光魔法ですか?」
皆が顔を見合わせて首を傾げていた。え?光魔法ってないの?じゃあ何魔法?そんなにアニメや漫画を見てないから知らないし……そもそも私が使ってるのって……魔法なの?
「知らないってば!」
「そ、そうですか……でも、すごいです!的をあっさりと破壊できるし、無詠唱ですよ!」
「さすがミサ様ですわね!」
呆然としていた回りが喜びだしたのでホッとした。ちょっとやり過ぎたかって思っちゃったけど……うふふ……私、すごいっ!えへへ……。もっと褒めて、褒めてっ♪やれば出来る子なのよっ!私。
回りから褒められて嬉しくてニヤニヤしていると、様子を見に来た先生たちが、呆然としていた。
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